Archive for October 18th, 2009
crying boy, do not worry, be happy
だれかのいとしいひと
きみのもしもし #124
ーこんな時間に何をやっているんだろう。
自分自身に問いかける。
「ちょっと歩きすぎたかな」
たくさんたくさんきみと歩いて、ここにたどり着いて、ぼくは冷蔵庫のジンに柚子を搾って喉を潤した。
柚子の香りに誘われて、きみも一緒にジンを口にする。
「先に寝てるね」
「ぼくはも少しだけ」
そうは言ったものの、歩き疲れたぼくも気づくとソファーでうとうとと。
そして今、水滴のついたジンのグラスを目の前に、ぼくは妙に目が冴えている。
ー本でも読むか。
きみの本棚からてごろな本をさがしてみる。
「どしたの」
きみを起こしちゃったかな。
「目が冴えちゃって、何か本でも読もうかなと」
きみは少し間をおいて、唐突な提案をしてくる。
「わたしに本を読んで聞かせるってのはいかが」
「絵本?」
「違うよ。普通の本、どれでもいいわ」
きみはぼくの横に立ち、本棚から一冊の本を抜き出した。
「これがいいな。これにしよっ」
そしてぼくにその本を手渡す。
「わたしベッドで横になるから耳元で読んで聞かせてね」
ぼくが本ときみとを交互に見ていると、
「もしもし、襲っちゃだめだよ、ちゃんと寝つくまで読んでね」
きみは笑っていた。

