Archive for May 16th, 2010
Elliott Erwitt
INGLOURIOUS BASTERDS
イングロリアス・バスターズ。クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、ダイアン・クルーガー。敵役のランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツはこの演技でカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞。まぁ好き嫌いはあるでしょうけど、わたしこれ好きです。ただいつも思うのは「もっと自分が映画を観ていればなぁ」するときっともっとこの映画偏愛監督の映画は楽しめるんだろうなと。例えば冒頭の「Once upon a time.. in French occupied by Nazi」これってセルジオ・レオーネへの敬愛 ( ONCE UPON A TIME IN THE WEST ウェスタン、ONCE UPON A TIME…THE REVOLUTION 夕陽のギャングたち、ONCE UPON A TIME IN AMERICA ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ ) でしょ。煙がスクリーン代わりになりショシャナの顔が浮かび上がるシーンはかなりかっこいい。ショシャナ:メラニー・ロランの唇のアップはそそられるなぁと。
THE MISSING PIECE
ぼくを探しに。シェル・シルヴァスタイン著。1977/4/24初版、去年新装版第71刷発行のロングベストセラーの絵本ですね。なつかしくなり、改めて購入しました。自分が歳を重ねていく上で何度読み返してもよい本の一冊ですね。また手に入れてよかったと思いました。
Midnight Zoo #43
「ねぇ、どう思う?」
「そうねぇ」
桜子は曖昧に返事をした。自分でもあまりに曖昧だな、とは感じた。
朝からひなのは桜子のマンションに来ている。
未明にひなのから桜子に電話があり、朝には桜子のリビングでひなのと一緒に珈琲を飲んでいる。
ひなのは持ち上げた珈琲カップを一旦テーブル に戻すと、
「もっとさぁ、ちゃんと聞いてよね」
「だってさぁあ、結局はひなのちゃん次第なんでしょう」
「あ、めずらしく、ちゃん付けで呼んだっ」
「これから来ていいかって」
「すごい時間だな」
さっきベッドの中で航が口にしたこの言葉は、 正直、桜子もそう思った。
きっと今日じゃなければそんな風には思わないはずなのに、とも桜子は思いながら、
「何かあったんだろうね」
「じゃあ、しょうがないかな」
「帰るの。。。」
少し媚びた声色になった桜子は、自分がはずかしかった。
「そんなときも、あるさ」
「ふーん」
これから帰り支度をすることに抵抗もなく、航の軽い感じの返答がいまいち気にくわない桜子だった。
ーいてくれてもいいのに。
航はそれを察したのか、桜子をたしなめるように
「きっと大事な話なんだよ、うん」
と言い、唇を重ねてきた。
ーなんか、ずるい。
ー用件はそれだけなのかなぁ。航は眠い目をこすりながら帰ってくれたのに。なんかもうどうでもいいなぁ、航とわたしのこと以外すべて。
「桜子さんが誰かをちゃん付けで呼ぶときってさ」
ひなのは少し膨れっ面になっている。
それはそれでかわいい表情だと桜子は思った。
ーそおかぁ、うん、若いっていいなぁ。
「そんなときの桜子さんは、面倒くさいなぁって思い始めているときだよね」
「そうじゃないけどぉ」
桜子は少しぬるくなった珈琲を口にする。
珈琲はぬるくなっちゃだめだな、と言っていた航の言葉と苦笑いしたそのときの航の表情を思い出した。
「けど、なぁに」
自分に妙な矛先が向きそうになるのも、かったるく感じて、軽く髪の毛をかき上げてみる。
ーもぉいいや。
「散歩、行こうぉっ」
「あっ 話題変えようとしてるっ」
ーもともと話題はひなのちゃんのことなんだけどなぁ。
「珈琲飲んで目が覚めたら、朝のすがすがしい空気を吸う。それが健全な生活の一歩だよ」
「健全ねぇ」
「わかんないときはわかんないし、決められないときは決められないときなんだから」
ひなのはきょとんとして、桜子をのぞきこんだ。
「何の答えにもなってない」
ーそう、でも、無理に何かを決めることもないと思うんだ。
桜子はひなのの珈琲カップも手に取り、流しに下げながら、元気よく少し大きな声で自分にも言い聞かせるように言ってみた。
「いこっ、きっと気持ちいいからさ」
ベランダの向こうに見える空は今日も青空だった。
(続く)


