風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘kiss’ Category

きみのもしもし #222

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「どうしてそんなにバクバク食べるかなぁ」
ーえっ。
「せっかく買って来たのに、とっても時間をかけて選んでさ」
 ぼくが右手でつまんでいるチョコにきみもぼくも視線を移す。
「一気に食べきって、なくなっちゃいそうでさぁ」
 右手のチョコは行き場を失った。
「ありがたみって言うか。気持ち込めて渡したんだから、気持ち込めて食べてくんないとなぁ」
 宙に浮いた右手のチョコ。
「もしもしっ、手に取ったんだから食べなさいよ。わたしの気持ちに感謝して食べなさいっ」
 怖いなぁ。
 でも、そんだけ気持ちがこもってるんだよね。
 心して味わいます。
 ありがとう。

Written by ken1

2012/02/11 at 20:03

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きみのもしもし #221

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「来てくれたんだ」
 ドアの隙間からきみが言う。
「いいからチェーン外して中に入れてもらえないかな」
 ぼくはスーパーのビニール袋を、きみの目の高さに持ち上げてみる。
 チェーンが外され、ドアは開いたが、
 きみは首を横に振る。
「だめだよ、入っちゃ、うつっちゃうもん」
 大丈夫だよ、とぼくも首を横に振る。
 そして、きみの手をとり、ほっぺにキスをする。
「もしもし、ほんとうつるんだから」
「そのときはそのときさ」
 ぼくは後ろ手にドアを閉めた。

Written by ken1

2012/02/05 at 16:11

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きみのもしもし #220

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「お散歩いこっ」
 今、ふたりで公園から戻って来たばかり。
 ぽかぽかだった陽気も、風が出て来て少し肌寒さを感じたから。
ー風邪引くとよくないものね。
 そう言って、温かい珈琲を求めて、でも途中のカフェにも立ち寄らずぼくんちまで戻って来たはず。
「また行くのかな」
 きみはにっこり笑って首を横に振る。
「また一緒に行けるかな」
「行けるよ」
 きみは少し考えて、
「もしもし、あのね。おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒にお散歩行けるかな」
 ぼくも少し考えて、
「行けるよ。きみさえよければ」
 ふたりの間に少し間が空いた。
「まっいっか」
「まぁいいじゃん」
 とにかくまた散歩に行こうね。

Written by ken1

2012/01/29 at 14:22

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きみのもしもし #219

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「凍えるねぇ」
「もう凍えてるよ」
 きみとふたりで予約したお店を探す表参道。
 かんたんに見つかるはずのお店が見つからない。
「お店に電話してみよっか」
「も少しこのまま探そ」
 きみが身体をすり寄せ、腕を組んでくる。
 重なった腕の辺りが温かい。
 まぁ確かに悪くもないな。
「もしもし、ちゃんと探すんだよ」
 ちょっと気を許したぼくに、
 はなのあたまを赤くしたきみが白い息をかけてきた。

Written by ken1

2012/01/21 at 18:58

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きみのもしもし #218

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 古いバーのカウンターできみとグラスを酌み交わす。
 真新しいコートでぼくより5分遅れて到着したきみ。
 寒いよねぇと両手をこすっている。
 ナッツしか出てこないこのお店で、空きっ腹に直接ウイスキーを流し込む。
 そこまでつきあう必要もないのに、同じものを注文するきみ。
 酔いが回るのが少しだけ早いみたい。
 薄明かりの中、ほんのりとピンクに染まったきみのほほ。
「もしもし、これからどうするつもりなの」
 アルコールの分だけ艶っぽい仕草で、きみが5cmの距離で問いかける。
ーさてとどうしましょうかねぇ。
 頼んだばっかりのお代わりがもどかしく思えた。

Written by ken1

2012/01/15 at 18:15

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