きみのもしもし #219
「凍えるねぇ」
「もう凍えてるよ」
きみとふたりで予約したお店を探す表参道。
かんたんに見つかるはずのお店が見つからない。
「お店に電話してみよっか」
「も少しこのまま探そ」
きみが身体をすり寄せ、腕を組んでくる。
重なった腕の辺りが温かい。
まぁ確かに悪くもないな。
「もしもし、ちゃんと探すんだよ」
ちょっと気を許したぼくに、
はなのあたまを赤くしたきみが白い息をかけてきた。
きみのもしもし #218
古いバーのカウンターできみとグラスを酌み交わす。
真新しいコートでぼくより5分遅れて到着したきみ。
寒いよねぇと両手をこすっている。
ナッツしか出てこないこのお店で、空きっ腹に直接ウイスキーを流し込む。
そこまでつきあう必要もないのに、同じものを注文するきみ。
酔いが回るのが少しだけ早いみたい。
薄明かりの中、ほんのりとピンクに染まったきみのほほ。
「もしもし、これからどうするつもりなの」
アルコールの分だけ艶っぽい仕草で、きみが5cmの距離で問いかける。
ーさてとどうしましょうかねぇ。
頼んだばっかりのお代わりがもどかしく思えた。


