風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #588

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ー忘れたんでしょっ。
 その通り。
 いつもは便利だし、それが当たり前なんだけどね。
ー最近はなんでもそうね。
 ぼくは今日、スマホを家に忘れたまま外出をした。
 忘れたことに気づいた時には外出先での用事が進んでいて、
 その用事が済むまでは家に戻れない。
 そしてその用事は思いの外、時間を要し、
 きみとの待ち合わせの時間を大幅に超える。
 やっと帰宅すると、幾つものメッセージや着信の履歴があった。
 もちろんきみからの。
ーもしもし?ところで、わたしの番号、そらで言える?
 言えなきゃいけないんだろうけど、
 はたと思い出せないぼくだった。

Written by ken1

2019/03/24 at 19:57

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きみのもしもし #587

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 きみからの突然のお知らせ。
 今日、仕事を辞めたと言う。
 どうするのかな。
「ちょっとひと休み」
 きみは一点の曇りも感じさせないクリアーな響きで、そう答えた。
 そのあとは?
「おっきな方向性はあるけど、細かいところはゆっくり考えるわ」
 ブレのない感じが口調から伝わってきた。
 会えるかな。
「もしもし。いつでも会えるわよ」
 きみはふふふと笑みを浮かべ、
「以前、あなたがひと休みしたときも、わたしはあなたと会ってたじゃない」
 立場があのときの逆になっただけ、だからいつでも会えるのよ、
 と、きみはゆっくり微笑んだ。

Written by ken1

2019/03/17 at 19:46

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きみのもしもし #586

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 きみが「あそぼ、あそぼ、あそぼ」と言ってくる。
 いいよ。今週ずっと忙しかったからね。
「今週そして昨日もでしょ」
 気づかないうちに、きみとの触れ合いが少なくなっていたんだろうね。
 でも、何して遊ぶわけでもなく、
 今週の話題が、きみの口からどんどん出てくる。
 そうなんだ、いろんなことがあったんだね。
 きみの話を聞きながら、ふと懐かしい歌詞を思い出した。
ーきみがそばにいるから、毎日が新しい。
 そうか、こういうことだったのか。
「もしもし、ちゃんと聞いてる?」
 きみはまだまだ伝えたいことが、たくさんあるようだ。

Written by ken1

2019/03/10 at 23:22

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きみのもしもし #585

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 きみが心配そうに笑っている。
 どうしたの?とぼくが尋ねると、
 だってね、と今度は少し苦笑する。
 そしてぼくの隣に座り、一緒にテレビの方を向く。
 珍しいね、この手のビデオを観るなんて。
 あぁこの映画ね。
 今度はぼくが苦笑する。
 もしもし。
「” 何もしない “をするのがいい時もあるよ」
 きみは字幕を読み上げた。
 もしもし。
「きみはクリストファー・ロビンでしょ」
 きみはぼくの手をつつく。

Written by ken1

2019/03/03 at 18:51

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きみのもしもし #584

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きみに伝えた。
予定していた今年の夏のパリは、どうも行けそうにないと。

きみはキョトンとして、
何しに行くつもりだったんだっけと。

パリでのんびり散歩して、
そして会ってみたい人もいるんだ。
そうぼくは答えた。

もしもし、分かってないなぁ。
きみはさらりとこう言った。
夢を見ることができれば、それは実現できるのよ。
きっと会えるよ。

うん、そうだね、そのとおりだね。
ぼくは少しだけ気持ちが軽くなったのを感じた。

Written by ken1

2019/02/24 at 19:35

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きみのもしもし #583

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 懐かしすぎる雑誌が出て来た。
 それも一種類だけではなく、複数のタイトル。
 今も刊行されているのかな。
 当然、ページは日焼けしている。
 破らないようにゆっくりと、それだじゃなくて、
 当時にタイムスリップする感覚で、胸はドキドキする。
 そして、ついに見つけた。
 あの頃、世の中に何の不安もなく、
 輝ける未来だけが見えていた、それを信じていた、
 そんなみんなが夜な夜な集っていた、
 そんなBar Moveが特集されているページ。
「もしもし、POPEYE、HotDogって」
 そう言ってきみはきみの懐かしいあの頃にタイムスリップしたみたいだ。

Written by ken1

2019/02/17 at 19:26

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きみのもしもし #582

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ー何を歌うわけ?
 きみが不思議そうな顔をする。
 そうだろうな、だってカラオケには普段行かないものね。
ーえ?何それ?
 曲名を聞いて、きみは輪をかけて不思議そうな顔をする。
 Puff The Magic Dragon、Blowin' In The Wind、500 Miles。
 これらはぼくらが大切にしている歌なんだ。
 だからあいつらと会って二次会がカラオケになると、
 英語の授業でこの曲を教えてくれた先生を偲んで、
 みんなで合唱するわけ。
 もちろん英語だよ。
 きみは少し考えて、この曲たちの共通点に気づいたようで、
ーもしもし、もしかしてLemon Treeもかなぁ。
 相変わらずきみはカンが鋭いね。

Written by ken1

2019/02/10 at 18:50

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