風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #522

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「言っちゃおうかなぁ」
 きみが意味深に笑っている。
 言いたくて仕方ないオーラがきみを包んでいる。
 そこで軽く背中を押す、と言うか呼び水なのか。
 聞いたげるよ、と言ってみる。
「言わない」
 聞かせてください、じゃないと言わないそうだ。
「わたしね、勉強を始めたの」
 きみは何のために、いつまでに、そしてこうなりたいと
 目を輝かせて話してくれた。
 表情そのものもイキイキしている。
 ぼくはきみのオーラを見誤っていたようだね。
 言いたいオーラではなくて、目標に向かって歩き出している、
 そのオーラがきみから出ている。
「もしもし、これはね、あなたの影響よ」
 そしてぼくをうれしくしてくれる。
 今日はきみからとっても元気をもらった一日だった。

 

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Written by ken1

2017/12/17 at 18:49

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きみのもしもし #521

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 今週も紅葉を観に行こうときみが言う。
 いいよ、どこで待ち合わせる?
 きみは答える、紅葉のあるその場所で、と。
 そしてぼくらはそれぞれにその場所に行き、
 スマホで思い思いに紅葉を狩り、SNSで送り合う。
 切り取った紅葉の数が一桁を超える頃、
 ぼくらは同じ木の前にいた。
 会えるもんだね。
「もちろんよ」
 陽射しは斜めになり、
 そのことは逆光の中、紅葉をますますきれいに観せてくれる。
 いい時間帯だ。
「もしもし、今日のお誘い、よかったでしょ」
 ちょっと鼻高々なきみがいる。
 きみも逆光の中、紅葉に溶け込んでいる。

Written by ken1

2017/12/10 at 18:54

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きみのもしもし #520

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 あなたは何もしてくれないと、きみがいう。
 食事の約束も、約束もわたしからだし、お店もわたしが探す。
 あなたは何もしてくれないと、きみは続ける。
 どんなに困っていても、アドバイスすらない。
 本当にあなたは何もしてくれないと、きみは腕を組む。
 少し間ができたようなので、ぼくは珈琲を入れる。
 豆はきみの好きなマンデリン。
ーもしもし。
 きみが組んだ腕を解く。
 うれしいのよ。
 ぼくは動きを止める。
 話を聞いてくれるだけでも、うれしいの。
 ぼくはきみに珈琲を差し出す。

Written by ken1

2017/12/03 at 18:26

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きみのもしもし #519

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 同じようなことをなんど感じても、
 同じようなことをなんど思っても、
 そして、そのことをどうしてもきみに伝えたくて、
 同じようなことをなんども伝えてきたはずなのに、
 それはきっと同じことなんだろうけど、
 やっぱり今夜もきみに伝えたくなって、
 こんな夜中なのにきみに電話をしました。
 そんなぼくにきみは
「もしもし」
 とだけ口にします。
 ぼくはなぜだか何も言えなくなり、
 なにも伝えられないまま、
「うん」
 とだけ口にします。
 するときみは少しだけ間をおき、
「ありがとう」
 と言ってくれます。
 ぼくはやはりなにも言えず、
「ぼくのほうこそ」
 とだけ伝えます。

Written by ken1

2017/11/25 at 01:41

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きみのもしもし #518

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 いつまでもそばにいるようで、
 いつでも声がきけるようで、
 そうではないと、たまに気づいたり、
 気づいたのに、気づかなかったふりをして。
 きみの好きな食べもの。
 きみの好きな花。
 きみの好きな写真。
 いくつ覚えてるかな。
 いつまで覚えてられるかな。
 丸まって寝息をたてているきみを見ていて、
 ぼくは思う。
 いつまでも仲睦まじく、
 いつまでも笑顔で、
 いつまでも楽しい会話ができるといいね。
-もしもし。
 今夜はぼくからきみへもしもし。
 いつまでも側にいるから。

Written by ken1

2017/11/19 at 19:51

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きみのもしもし #517

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 きみを笑顔にする魔法の呪文なんて知りません。
 この頃はすぐに夜になっちゃうし、
 今夜もそんなに時間に遅れていないのに、
 少しだけ気が急いてしまいます。
 でも、少しでも早くきみの顔を見るために、
 少しでも長くきみと一緒にいるために、
 さぁ、きみに会いにいきます。
 もう少しだけ待っていなさい。
ーもしもしぃ、返信はいいから、早くおいでよ。
 やはりきみは待ちわびているようで、
 それはそれでうれしいものです。

Written by ken1

2017/11/12 at 18:36

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きみのもしもし #516

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 例えば、1枚の写真を撮るのに1/100秒だとして、
 300枚の成功した写真を撮るには、たったの3秒。
 でもそれだけの成功した写真を撮るために費やす「時」はどのくらいなんだろう。
 どのくらいの「時」と向き合うんだろうね。
「知ってるよ、その話」
 うん、有名だものね。
「そのフランスの写真家さんは50年かかったのよね」
 そう、彼は50年かけて3秒。
「写真の前に人生があるって言ってたね」
 難しいなぁ。ピンと来ないや。
「いいんじゃない。気に入った写真が1枚でも撮れれば」
 うん、それが2枚、3枚と増えていきますように。
「もしもし、その中の1枚にわたしを必ず入れること」
 ぼくはなんだか照れくさくなり、
 きみはぼくの手を取って、
 そしてぼくらは写真展を後にした。

Written by ken1

2017/11/05 at 18:54

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