風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #660

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 蝉時雨が聞こえない。
 いつもの夏は窓を開けるだけで、
 午前中からうるさいくらいに聞こえてくるのに。
 今年は蝉時雨が聞こえない。
 裏の神社に行っても、聞こえない。
 なんでだろう。
 幼い頃、蝉時雨のない夏はなかった。
 夏休み、寮から実家に戻っても、
 蝉時雨はふつうにある夏そのものだった。
 確かに実家の田舎とこことでは、蝉時雨の密度が違う。
 でも確かに身近に、夏の生活の音として聞こえていた。
 蝉時雨が聞こえない。
ーもしもし、来年は帰省しようね。
 きみも蝉時雨が恋しいみたいだ。

Written by ken1

2020/08/09 at 22:48

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #659

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 ここ数ヶ月でかなりの断捨離をしたと思う。
 でも部屋をぐるりと見てみると、まだまだここは物にあふれてる。
 どうしようかな、と思い悩む物がそこここにある。
 思い出は思い出として確かにあるんだけど、
 それに浸っていたら、何も変わらない。
 そんなことはもう十分に知っている。
 今はそれにも増して、
 残っているそれらは当時とても苦労して手に入れた気がしてくる。
「もしもし」
 きみがいつの間にか横にいた。
「いちど手放してもまた必要なものは手にはいるものです」
 きみはそう断言する。
 そうなんだろうけどさ。
 まだまだナタを振るえないぼくがいる。

Written by ken1

2020/08/02 at 23:19

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #658

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 そうだね、いつか。
「だめだよ」
 きみが首を横にふる。
「いつかって言ったそのときに、やんなきゃ」
 そうかも知れない。きっとそうなんだろう。
 いつかって言って、その先にやった試しなんて記憶にない。
「もしもし。いつかって思ったことこそ、そのときにやるんだよ」
 こんな会話をしたことも、いつかきっといい思い出として思い出すのだろう。
 あれ、この「いつか」はいいんだろうな。
 今日と言う日がいい思い出に、楽しい記憶として残りますように。

Written by ken1

2020/07/26 at 18:55

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #657

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 きみがいたら何と言うかな。
 最近よく考える。
 優柔不断になっている気はしないけど、
 今まで以上に、きみの思いも一緒にしようと、
 きみがいたら何と言うかな。
「もしもし、そんなことも分からないのぉ」
 きみにそう言われそうだけど、
 やっぱり、きみがいたら何と言うかな。

Written by ken1

2020/07/19 at 20:55

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #656

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 親しければ親しいほど、
 そして気心が知れているほど、
 ふだんは連絡なんてまるでなく、
 呆れるほど久しぶりにメッセージが届いたりすると、
 それはそれでうれしい反面、
 根拠もなく不安な思いが脳裏をよぎる。
ーお前は元気か、オレも元気にやってるぞ。
 お前も元気であるように、
 返信はあえて「オレも」にしてみる。
「もしもし、大丈夫だから。きっと大丈夫だから」
 心配顔のきみがぼくを勇気づける。
 そうだね、あいつはきっと大丈夫だよね。
 ぼくらの思いがあいつに届きますように、
 雨の晴れ間に空を見上げた。

Written by ken1

2020/07/12 at 19:48

カテゴリー: kiss

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