風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #458

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ー晴れたね。
 そうかな。
ーだって雲の隙間に青空が見える。
 確かにそうだね。
ーじゃあ行こうよ。
 うん行こう。
 そしてぼくらは水上バスに乗ってみた。
 銀河鉄道999をイメージして造られた最新型の水上バス。
 今まで乗ったことのある水上バスとはひと味もふた味も違う。
 上を見上げると、ガラス越しにさっきの青空が見える。
 アルコールとジェラートをテーブルに置き、
 40分の船旅を楽しむ。
 いい1日になりそうだ。
ーもしもし、わたしの提案だからね。
 きみはかなり自慢げに、
 さっきよりも青空の割合が多い空を指さした。

Written by ken1

2016/09/26 at 00:18

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きみのもしもし #457

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左手首をトントンと叩く感触。
またオモチャを手に入れたのねと、きみは半ばあきれ顔。
でもね、思っていたより少しだけ便利なんだよ。
ずっと買わなかったくせに。
そうだけどさ。
昔々、葡萄を取れなかったキツネさんのお話あったよね。
それとはちょっと違うと思うけどなぁ。
あっ。
なに?
雨雲が近づいてるってさ。
もしもし、それって便利なの?
うん、だから雨雲が行き過ぎるまでここでこのままお茶してよっ。
なんだかなぁ。
きみのあきれ顔はまだ続いている。

Written by ken1

2016/09/19 at 01:20

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きみのもしもし #456

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 電車から急ぎ降りて、ホームできょとんとしていた。
 ここはどこ?
 あれ?なんで降りたんだ、せっかく座れてたのに。
 さほど量は飲んでいないと思っていたが、
 最近遠ざかっていたのと電車の揺れで、想定外の行動を取ったようだ。
 とにかく次の電車までベンチで休むことにしよう。

ーもしもし、お客さん、そこの彼氏、電車なくなっちゃいますよ。
 呆れ顔でぼくを揺らすきみが隣に座っていた。
 いつから隣にいたの?
ーそれはわたしのセリフ。いつから座っていたの?
 ここはどこ?
ーなんだ、わたしを待ち伏せしていたんじゃないのね、残念。

 ぼくらはきみの駅から電車に乗って、ぼくの駅まで移動する。
 きみはぼくを家まで送り届けてくれるらしい。
 また一つ、頭が上がらなくなったなぁ。
 きみは隣で楽しそうに微笑んでいる。

Written by ken1

2016/09/11 at 18:21

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きみのもしもし #455

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ーもしもし、こうやってギュッと抱きしめられるとね、リラックスできるんだよ。
 待ち合わせのカフェに向かう途中で、向こうから歩いてくるきみを見つけた。
 右手を上げて、きみにぼくの存在を知らせると、
 きみは軽やかに距離を縮めてきて、直前でぼくに飛びついてきた。
 そして、肩越しに言ったのが「ギュッとしてリラックス」
ーリラックス感、ある?
 ギュッとしたままきみが聞いてくる。
 人の行き交うこの歩道でのギュッはかなり照れくさい。
ーねぇねぇ、どう?
 どうと言われても、おや、石鹸の香り。
 照れくさいけど、この香り、いいな。
 これもひとつのリラックスかな。
 きみはまだギュッを解いてくれそうもない。

Written by ken1

2016/09/04 at 23:02

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きみのもしもし #454

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「偶然なんてないのよ」
ー街中で知り合いにばったり会っても偶然じゃないの?
「うん、必然なの。必ず何かが関係してるから。
 それに気づいてないかも知れないけど。
 だから、すべてのことを前向きに考えてるとね、
 とっても素晴らしい事に出会えるの」
ーそれも必然?
「そう、偶然じゃない。
 起こるべくして起こるのよ、とっても楽しいことが」
ーきみとの出会いは偶然だと思ってたけどなぁ。
「もしもし、違うわ、出会うべくして出会ったのよ」
 きみは一点の曇りもない目でそう答える。
 ぼくは何だかとても照れ臭くなってしまう。

Written by ken1

2016/08/28 at 22:29

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きみのもしもし #453

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寝不足なんでしょう、ときみが言う。
そうだろうね、とぼくは受け流す。
きみはテレビの前でリビングのフロアーに横たわる。
ぼくはテレビの前に椅子を配置しそこに陣取る。
腰に悪いわ、クッション取って。
クッションはふたつがいいな、ひとつは枕にするから。
きみは完全に横になって観る体勢だね。
こっちに来れば、ときみが上目遣いでぼくを誘う。
でもね、きみと一緒に横になって観るときっと寝ちゃうんだよ。
もしもし、やっぱり寝不足なんだ。
そうだよ、寝不足なんだから。
ぼくらは互いに寝不足を自慢している。
そして彼の地での未明の快進撃に酔いしれる。

Written by ken1

2016/08/21 at 22:47

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きみのもしもし #452

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ーあなたはどんな時も笑っていてくれるかな。
 え、どんな時もかい?
ーうん、大きく笑わなくていいから、微笑んでいてね。
 と、きみのほうが微笑んだ。
 笑う門には福来たるってことかな。
 きみは微妙な微笑みで、
ーもしもし、あなたの笑顔はね、わたしの憂鬱をひとつずつ
 溶かしてくれるんだよ。そのこと、忘れないでいてね。
 と、ゆっくりとその言葉を口にした。
 何かあったんだね。
 きみはただ薄く微笑んでいる。
 ぼくはただゆっくりと頷いた。

Written by ken1

2016/08/14 at 19:45

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