きみのもしもし #753
ー無理しなくていいよ。 きみから言われたこの言葉を、 明日そのまま伝えようと思う。 もちろんきみにではなく。 踏ん張る勇気よりも、 無理をしない勇気。 それが必要な時もあると。 ー無理しなくていいよ。 あの時きみのこの言葉でぼくはどれだけ救われたことか。 「もしもし。うまく伝わるといいね」 今日も優しく、でもしっかりときみは手を重ねてくれた。
きみのもしもし #752
きみが、 ーもしもし。 と言う。 ーもしもし。もしもし。 最近、ぼくの帰りが遅くて、 あんまりお話聞いてあげられなかったね。 分かっていたけど、またパソコンを開く。 きみは静かにそばにいる。 ずっとそばにいる。 そんな夜が二人に続く。 ーもしもし。 きみが小さく口にする。
きみのもしもし #751
きみの頭を撫でてみた。 ひさしぶりに3回撫でてみた。 きみは動きを止めて、キョトンとしている。 そうだろうね、久しぶりだものね。 ーわたし何かいい事した? きみが首を傾げる。 いや、なんとなく。 そう、なんとなくもいいかなと。 きみは少しだけ間を置いて、 ーもしもし。もっと撫でて。もっともっと。 おでこをぐぐっと差し出してきた。
きみのもしもし #750
きみが新聞を広げている。 連休中は新聞を読むらしい。 とにかく隅から隅まで読むらしい。 「もしもし、あなたもネットばかり見てないで、 紙の新聞を読むのも楽しいよ」 新聞が語りかけてくると、きみは微笑む。 出会いを感じるわと、きみが記事を読み上げる。 新聞と向き合う時間、結構楽しそうだ。
きみのもしもし #749
目覚めたら、まだ雨が降っていた。 こんな日はどうしよう。 ー雨を聴こうよ。 きみが不思議なこと口にする。 ーここでもいいし、出かけてもいいよ。 雨に耳を傾ける。 五感を使って耳を傾ける。 きっと今まで感じなかったことが感じるように 何かが聴こえてくるのかも知れない。 ーもしもし、雨の日は雨を、今を楽しもうっ。 そうだね、今日も、そしてこれからも、 一緒に今を楽しもうね。