風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #573

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ー今年はここ。
 昨夜遅くに連絡があり、ぼくは今朝早起きしてこの駅できみと待ち合わせ。
 ぼくらは駅からバスに揺られ、そこから40分ほどのハイキング。
 そこが今年のここ。
ーやっぱり潮焼けしてるね。穴場だと思ってたんだけどなぁ。
 海に近いところの紅葉は、山場でも潮焼けをしているんだろうね。
ーでもね。
 きみはぼくの視線を空に向けた。
 潮焼けから逃れた真っ赤な葉っぱたちはお日様の光を存分に浴びて、
 少ないなりに、でも見上げた空をそれはそれは綺麗に飾っていた。
ーもしもし。もしもし。
 そして、きみは上を向いたまま呟く。
ーきれいですよ。ほんときれいですよ。
 ありがとうときみが空に浮かぶ紅葉に呟く。

Written by ken1

2018/12/09 at 19:21

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きみのもしもし #572

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ーもしもし、今日は表情が違うね、きみが微笑む。
 そうかな。
ーそうだよ、きみがうれしそうに微笑む。
 なんだろう。
ー分かってるくせに、きみがニコニコしている。
 たまに会うとさ、元気をもらえるのかな。
ーきっとその友だちとお互いにね、ますますきみが微笑む。
 あいつとももう長い付き合いになる。
 楽しいこともたくさんあったし、たくさんの説教もされた。
 みんないい思い出だ。
 そしてたまにしか会えないけれど、
 これからも支えになってくれるんだろうな。
ーそれも含めてお互いにね、きみがゆっくり頷く。
 そしてきみは続ける。
ーわたしと会ったあとも、そんないい表情が続いているといいな。
 もちろん。
 ぼくらは一緒に、街頭に流れるクリスマスキャロルを口ずさんだ。

Written by ken1

2018/12/03 at 10:19

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きみのもしもし #571

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きみがソファーでまぁるくなっている。
窓からの陽射しで、ソファーは一面陽だまり状態。
きみはすやすやと小さい寝息を立てている。
せっかくだからもっと気持ちよく寝れるようにと、
薄いダウンの掛物できみを包む。
気づいたのかな。
きみはちょっとだけ薄眼を開けて、
次の瞬間にはまた陽だまりと同化している。
計画通り連休を楽しんで、
予想通りのんびりと過ごす今日。
ぼくはぼくで、きみのおやすみを邪魔しないように
イアホン経由で音楽を聴く。
そして陽だまりのおこぼれをもらおうと、
きみと一緒のリビングで宿題に取りかかる。
きみが時たま口にする寝言も、
なんとなく「もしもし」に聞こえるから不思議だ。
連休最後の日、きみはソファーでまぁるくなっている。

Written by ken1

2018/11/25 at 20:09

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きみのもしもし #570

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 街角にクリスマスソングが響きだした。
 まだ一月以上先なのになぁと思う。
 でも、このくらいからクリスマスに向けた準備が必要ですよと、
 きっと教えてくれているのだろう。
 いっつも直前であたふたするのは否めないし。
ーその一週間前にパーティーあるんだ。一緒に行こうっ。
 今年もきみから先に誘われた。
 毎年、今年こそはぼくから誘おうと思っていても、
 やはりきみからの誘いの方が早い。
 なんでだろう。
 今年のクリスマスソングは今日初めて耳にしたのに。
ーもしもしっ、行くの?行かないの?
 ありがとう。行くよ。一緒に楽しもう。
 さてとサンタのおじさんは何を準備しようかな。
 きみへの感謝の気持ち、どう伝えようか。
 耳にしたクリスマスソングを口づさみながら、ぼくは考える。

Written by ken1

2018/11/18 at 18:43

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きみのもしもし #569

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 金曜夜、仕事帰りに本を選ぶ。
 その週またはそれ以前にお気に入りに入れていた。
 その中から一冊を注文する。
 土曜午後早い時間に本は届く。
 今更ながらに便利な世の中。
 土曜の午後、スマホに配達完了の知らせが届く。
 それをスマートウォッチで受けて、
 郵便受けまで本を取りに行く。
 するとそこにきみがいた。
「もしもし、読書の秋、ですか?」
 ぼくは素直に頷く。
「公園でサンドウィッチなんて、いかが?」
 ランチを済ませていても、ぼくは笑顔で頷く。
「わたしも持ってきたのよ」
 きみはサンドウィッチの入った袋をぼくに手渡しながら、
 kindleを見せる。
 小春日和の今日。
 ぼくらはのんびりと読書の秋に浸る。

Written by ken1

2018/11/11 at 18:22

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きみのもしもし #568

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 きみに早く会いたいね。
 そう思いながら、朝から今日の家事を済ませる。
 朝からやっているのだが、遅々として家事は進まない。
 新聞の集金、予定外の宅配便。外的要因もあるけど、
 やはりぼくは家事がどうも苦手なようだ。
 お掃除ロボットもクルクル回りながら手伝ってくれている。
 でも、全体としてはなかなか進まない。
 きみに会いたいと思えば思うほど、進まなくなるから不思議だ。
 そこで、家事の順番を入れ替えてみてはどうだろうと手を止めた。
 すると、あれ?
 今日のぼくはこんなきみに会いたいのに、何をやっているんだろう。
 そんな気がした。
 ところで、今日のきみはぼくが思うほど、ぼくに会いたいかな。
 そんなことまで考えてしまう。
ーもしもしぃ、早く会おうよぉ。
 そんなきみを想像して、
 ぼくはまた家事に取りかかる。

Written by ken1

2018/11/04 at 18:43

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きみのもしもし #567

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 宿題がまったく理解できない。
 いや、違うな。教わったことが消化できないでいる。
 テキストを見ても、そう書かれているけど、理屈が腑に落ちない。
 ネットで検索してもスカッとするものにヒットしない。
 クラスメイトは親切にSNSで教えてくれる。
 言わんとすることは、その気持ちは伝わってくるのだが、
 でもぼくは理解できない。困ったなぁ。
「何にらめっこしてるの?」
 うんうん唸っているぼくを見て、きみがしびれを切らす。
「もしもし、ドラマ始まったよ」
 ドラマはビデオでもいいか。
「もしもしっ、お茶冷めちゃうよっ」
 あっそれはやばい。
 せっかく温かいお茶を入れてくれたきみ。
 うん、いいや、宿題また後で。
 温かいお茶の方がとても重要だ。

Written by ken1

2018/10/28 at 21:32

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