風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #540

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ーもしもし。自分から動かなきゃ、何も変わりませんよ。
 きみがニコニコしながら、ぼくに何やらチラシを差し出す。
 毎回出している写真展以外にも、こんな写真展の公募もあるよ。
 どうしても何か変わって欲しいとか、そんなんじゃないけど、
 そしてあなたがそこまで求めていないのも知っているけど、
 けどけどけど、
 せっかくだから、いつものライフワークの一つに加えてみてはいかが。
ーそうだね。
 あっという間に、明日になって、
 あっという間に、今月も終わって、来年になって。
 できるうちに、できることをやっておきますか。
ーうん。わたしもあなたの何かにお役に立てれば光栄です。
 きみはただうれしそうに頷いた。
 ぼくはいつもその顔が見たくて、頑張っているのかな。
 そんなことを知ってか知らずか、きみはまたニコニコしている。

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Written by ken1

2018/04/22 at 18:51

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きみのもしもし #539

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 おはようって何回も言うきみ。
 そう言えば、いただきますも何回も言う。
「もしもし、なに笑ってるの?」
 そして、もう一つ気がついた。
ー行ってらっしゃい。
「うん、行ってきます」
 靴を履き終えたきみ。
 きみは毎回ドアを出るまでに、
 何回の行ってきますを口にしているのだろう。
 少なくとも3回くらいは言ってそうだな。
 そして、ドアを閉めようとしたきみはまた口にした。
「行ってきまぁす」
 はい、行ってらっしゃい。
 なんとなくいい感じ。
 今日もいい一日になりそうだ。

 

Written by ken1

2018/04/15 at 18:50

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きみのもしもし #538

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 小学校の校庭の横。
 路地をいっぽん入る。
 不思議と小学校独特の音から解放される。
「ね、静かでしょ」
 きみはここのこの静かな空気を乱さないように、
 小声でぼくに話しかける。
「ここのね、ブレンドがおいしいのよ」
 そしてマスターに珈琲を二つお願いする。
 確かに落ち着く。
 ぼくもこのお店の雰囲気に身を委ねてみる。
 そして珈琲の香りがぼくらを包む。
「もしもし、お話しましょ」
 そうだね。
 静かな時間の中できみと向き合う。
 少しだけいつもと違うシチュエーション。
 なんとなく新鮮な感じ。
 ぼくらは今週一週間の様子を互いに伝えあった。

Written by ken1

2018/04/08 at 23:14

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きみのもしもし #537

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 まだここいらの桜は咲いている。
 でもちょっとした風に花々は揺られて、
 ぼくらの目の前で風に乗った桜の花びらが優しい舞を見せてくれる。
「もしもし、どう?」
 夜桜見物が早すぎる開花でほとんど葉桜見物になった昨夜のきみの企画。
 それを挽回しようと今朝突然きみが組んできたここいらでの桜見企画。
 ありがとう。今年もきれいな桜が見れました。
 そしてきみと桜の木々を見上げながら歩いていると、
 裏手の山から教科書通りのウグイスの鳴き声までもが聞こえてきた。
「すっかり春だね」
 ぼくらはどちらからともなく、そう口にした。

Written by ken1

2018/04/01 at 23:08

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きみのもしもし #536

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「もしもし」
 きみが意味深な顔をしている。また何かに感化されたのかな。
「タイムスリップで過去に行けるとしたら、いつに戻りたい?」
 高校時代かなぁ。
「本当に戻りたい?」
 いやぁ、戻れなくてもいいけど。
「けど?」
 あの当時はやけに楽しかったなぁってさ。
「今は?」
 楽しいよ。また別の気のおけない仲間もいるし。
「いいね」
 うん、いいよ。
「よかった」
 どうして?
「トイムスリップされてどっか行っちゃうと少し寂しいから」
 少し?
「うん、少しね」
 大丈夫、行かないよ。ここにいるよ。
 きみは満開の桜を見上げて、微笑んでいる。
 それを見て、ぼくは思う。
 うん、今が一番だな。

Written by ken1

2018/03/25 at 14:39

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きみのもしもし #535

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 毎日忙しいようだ。
 そんな季節なんだろう。
 異動があったり、転勤があったり、
 退職したり、再就職したり。
 そして親しい仲間とは心からの送別会で語らい、
 来月からなかなか会えなくなったり。
 そんなのがいくつも重なる、
 そんな年齢ってのも存在するのかも知れないね。
 で、きみに環境の変化はないの?
「もしもし、それはあなた次第かもね」
 親しい仲間の見送りで、きみは少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべ、
 意味深な問いかけを口にする。

Written by ken1

2018/03/18 at 19:08

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きみのもしもし #534

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 少し疲れが溜まっていたのか、
 お気に入りの器を二つも立て続けに割ってしまった。
 どちらも洗っている最中に手から滑り落ちた。
 ひとつはプラハに行ったときの自分向けの記念のお土産。
 もうひとつはきみがずっと愛用していた器。
 困ったなぁのオーラをまとって、キッチンに立っていたら、
「もしもし、ものはね、壊れるの」
 きみが横に立っていた。
「ものが壊れないと、新しいものが売れないの」
 そして、ニコニコしながら、
「新しいものが売れないと、作ってる人たち、困るでしょ」
 割れたかけらを袋に入れ始め、
「だから、割れても気にしなくていいのよ」
 怪我はなかったかと聞いてきた。

Written by ken1

2018/03/11 at 15:51

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