風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #622

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朝、散歩をする。
旅に出ると朝のふつうの日課になるのに、家にいると週末でもまずやらない。
田舎の実家に戻ると、最後の朝の儀式みたいな感じ。
でも今朝、2階の自分の部屋から見える景色がぼくを朝の散歩に誘った。
ー町中が森林浴って感じだよ。
ーすごいね。
車の音も聞こえない。
人の行き来もない。
ーもしもし、森の中に迷い込んだ感じかな?
おいおい、そこまで山奥じゃないよ。
ぼくは思わず苦笑する。

Written by ken1

2019/11/17 at 12:58

カテゴリー: 未分類

きみのもしもし #621

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 きみが憂鬱な顔をしている。
 そんな顔のきみを見るのは初めてだ。
 どうしたのかな。何か気になる事があるのかな。
 きみは憂鬱な顔のまま、
 憂鬱そうな目つきでぼくを見上げる。
 こんなときはどうしたものか。
 ぼくはきみの憂鬱そうな視線から
 目を離さないようにして、
 そうだっ。
 試してみよう。
 ぼくはにっこり笑って、
ーもしもし。もしもーしっ。
 きみの専売特許できみにささやく。
 きみの憂鬱が晴れるように、
 何度でも何度でもきみにささやく。

Written by ken1

2019/11/10 at 23:25

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #620

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 きみと話していて、ずっと話していて、
 そこそこお酒も入っているものだから、
 でもぼくの方が飲んでいるものだから、
 会話の途中で、オチを忘れてしまう。
 それでもきみは笑って頷いてくれる。
「もしもし、それってこういうこと?」
 そうかも知れない。うん、きっとそうだ。
 そしてまた新しい会話が始まる。
 でも不思議だね、時計を見ているわけでもないのに、
 オチを忘れるくらいに酔っているのに、
 きみが帰れるギリギリの時間には気づいてしまう。
 うん、大丈夫。ぼくはぼくでちゃんと帰られから。
 今夜はこれ以上、寄り道はしないからさ。
 でも、それはそれできみは納得がいかないみたいだ。

Written by ken1

2019/11/04 at 00:39

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #619

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 欲しいものは何?
「靴がいいな。素敵な靴がいい」
 素敵な靴は素敵なところに連れていってくれるから。
 と、きみが続ける。
 きみにとっての素敵なところはどこなんだろう?
「また来たくなるような、何回でも来たくなるような、
 そんな魔法をかけてくれるところ」
 うーん、どこだろう。
「大丈夫、素敵な靴が教えてくれるから」
「もしもし。うふふ」
 きみが微笑む。

Written by ken1

2019/10/27 at 21:47

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #618

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ーあなたは何になりたいの?
 この歳になっても、ぼくにとって答えられない問いかけをきみはしてくる。
ーどうして答えられないの?
 もうなれないと思っているから。
 恥かしいけど、それが正直な気持ち。
ーなりたいものになれるとかなれないとか。
 そうではないときみは言う。
ーもしもし、なりたいものになりたいって気持ち。
 きみはぼくを真正面から見つめる。
 見つめ返すのにとっても勇気が必要なことくらい、
 真正面からぼくを見つめる。
ーなりたいって気持ちを忘れないでいる事が大切なんだよ。
ーちょっとの事でいいんだよ。
ー大袈裟に捉えることはないんだよ。
 そんなきみに後押しされて、
 ぼくは一年ぶりに重い腰を上げることにした。

Written by ken1

2019/10/20 at 23:11

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #617

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 ゆっくりと、でも確実にぼくらは歳をとる。
 前向きに言葉を変えれば、歳を重ねると言うことか。
 物忘れも出てきて、身体のあちこちにガタが来る。
 今までのスピードで物事が処理できなくなって、
 自分自身でも焦ったくなる。困ったものだ。
 そんな話をきみにしていた。
 すると、きみはキョトンとしてぼくを見る。
ーもしもし。
 笑顔でぼくを見る。
ー歳をとることはそんな悪い事ばかりじゃないよ。
ーきっとそうじゃないよ。
ーいろんなものが見えてきて。
ーいろんなことに優しくなれて。
ーきっとそうだよ。
ー楽しみだなぁ。
 きみはおいしそうに珈琲に口をつける。

Written by ken1

2019/10/14 at 13:04

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #616

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「もしもし」
 始めにそう言ってから、きみはずっと話し続けている。
 途中で口を挟む隙もないほど、ずっと話し続けている。
 ぼくはとにかく、そんなきみから目を離さずに、
 そうだね。
 とだけ、時折り相槌を打つ。
 そしてたまに珈琲に口をつける。
 きっときみの珈琲もぬるくなっているだろうに、
 きみはそんなことにはお構いなしで、
 ずっと話し続けている。
 いくらでも、いつまでも、聞いていてあげよう。
 ぼくはまた相槌を打つ。

Written by ken1

2019/10/06 at 19:09

カテゴリー: kiss

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