風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #453

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寝不足なんでしょう、ときみが言う。
そうだろうね、とぼくは受け流す。
きみはテレビの前でリビングのフロアーに横たわる。
ぼくはテレビの前に椅子を配置しそこに陣取る。
腰に悪いわ、クッション取って。
クッションはふたつがいいな、ひとつは枕にするから。
きみは完全に横になって観る体勢だね。
こっちに来れば、ときみが上目遣いでぼくを誘う。
でもね、きみと一緒に横になって観るときっと寝ちゃうんだよ。
もしもし、やっぱり寝不足なんだ。
そうだよ、寝不足なんだから。
ぼくらは互いに寝不足を自慢している。
そして彼の地での未明の快進撃に酔いしれる。

Written by ken1

2016/08/21 at 22:47

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きみのもしもし #452

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ーあなたはどんな時も笑っていてくれるかな。
 え、どんな時もかい?
ーうん、大きく笑わなくていいから、微笑んでいてね。
 と、きみのほうが微笑んだ。
 笑う門には福来たるってことかな。
 きみは微妙な微笑みで、
ーもしもし、あなたの笑顔はね、わたしの憂鬱をひとつずつ
 溶かしてくれるんだよ。そのこと、忘れないでいてね。
 と、ゆっくりとその言葉を口にした。
 何かあったんだね。
 きみはただ薄く微笑んでいる。
 ぼくはただゆっくりと頷いた。

Written by ken1

2016/08/14 at 19:45

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きみのもしもし #451

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 少し離れたところまで花火を観に来た。
 きみといつも行っていた恒例の花火大会が今年からしばらく休止だという。
ーしばらくってどのくらいかなぁ。
 誰も分からないからしばらくなんだと思うよ。
ーやめたって言うとみんなが落胆するからじゃない?
 きみは優しい解釈をする。
 そんなぼくらは今まで行ったことのない花火大会に足を伸ばすことにした。
ーちょっとだけ電車に揺られただけなんだけど、なんだか旅行をしているみたい。
 そういえば、最近一緒に旅行に行ってなかったね。
ーもしもしぃ。最近じゃなくて、ずーとだよ。
 そっか。
 いつもぼくらはそれぞれが好きなところにふらりと一人、旅に出る。
 きみが一発めの大きな打ち上げ花火を観て言った。
ー一緒の旅行、たまにはいいかも。
 きみの手がぼくに触れる。
 ぼくの手もきみに触れる。
 

Written by ken1

2016/08/07 at 20:52

Posted in kiss, 未分類

また電子書籍にしなきゃ

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「きみのもしもし」がまた50話たまった。
今回は401話から450話まで。
50話毎にまとめて電子書籍化している。
今回のでVol.9になる。
大雑把に言って年に1冊ペースでまとめて電子書籍化。
書き始めた頃は毎週ではなく毎月のペースで書いていたので、
そうだな、10年くらいのライフワークか。いい感じ。
当初はアメリカで電子出版してたけど、今はAmazonと楽天。
これでわたしがいついなくなっても物は残る。よしよし。
1,000話くらいはいけるかな。

Written by ken1

2016/07/31 at 17:02

Posted in 未分類

きみのもしもし #450

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ーもしもし、そーゆーときはね。
 きみが自信いっぱいに目を輝かせて、ぼくに助言する。
ー子供のときみたいに、神様にお願いしてみればいいんだよ。
ーお願いしますって。
ーわたしなんて小学生の頃、風邪で熱がなかなか下がらなかったときなんて、
 枕元に置いてた目覚まし時計に「明日までに熱を下げてください」ってお願いしたもの。
 それは神様なの?
ー神様はどこにでもいるの。本気で信じれば目覚まし時計にだって神様はいるの。
 変な宗教じゃないよね。
ーあー、わたしのこと信じてないっ。
 そうじゃないけどさ。
 神様はどこにでもいて、なんでも叶えてくれるかも知れないけど、
 ぼくのことを本気で心配してくれるきみがいれば、
 そう、きみがそばにいれば、それでいいや、それだけでいいや。
ーちゃんとお願いするんだよ。
 今、きみはぼくの前にいる。

Written by ken1

2016/07/31 at 16:47

Posted in kiss

きみのもしもし #449

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ーそろそろ部屋の整理は済んだかな。
 どう見てもまだ散らかっているこの部屋のドアを開けて、
 きみは笑っている。
 クローゼットの中から天井からすべての壁紙を張り替え、
 どうせだからとカーペットまでも張り替えた。
 こんなにも大変だとは思わなかったよ。
 ぼくは驚いた気持ちを正直にきみに伝えた。
ー物持ちがいいのも何かしらねぇ。
 足元に転がっている懐かしい品々がきみの目を引く。
 あぁそこいらに転がっているのは全部捨てるから。
 そんなぼくの言い訳をスルーして、
 きみはひとつ何かを手にした。
ーこれ、懐かしいね。
 うん、懐かしいよ。でも。
ーいいよ。捨てても。
 きみはそっとその品を下に置いた。
ーもしもし、手伝ってもいい?
 おもちゃ箱みたいなこの部屋の整理には関わり合いたくないと
 言っていたきみ。
 あまりの断捨離に少し寂しさを感じたのかな。
 ぼくの隣にきみはちょこんと座り、
 転がっている品をひとつずつ手に取り始めた。
 

Written by ken1

2016/07/24 at 19:29

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きみのもしもし #448

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 覚えてたはずなのに。
 ベッドで身体を横にしながら、考える。
 夜中に喉が渇いて、目が覚めた。
 ぼくの手に重なっているきみの手をそっと降ろし、キッチンに行った。
 冷蔵庫の中のブリタのボトルから、よく冷えた水で喉を潤し、
 そこで何かいいことを思いついた。
 きみにとってとってもいいことが閃いた。
 メモに取ろうかとちょっとだけ悩んで、
 いつもだったらすぐに走り書きするのに、
 こんなにいいことだ、忘れるはずないな、
 とタカをくくって、ベッドに戻った。
 だめだ、思い出せない。
ーもしもし、もう起きるの?
 きみがまたぼくの手に手を重ねてくる。
 きみの手はほんと柔らかい。
 忘れてしまったことも忘れさせてくれる。
 きみの寝息が聞こえる。
 ぼくももう一回寝ようかな。

Written by ken1

2016/07/17 at 11:04

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