風、空、きみ

talk to myself

そのひとの娘と唇を重ねる

leave a comment »

「きっとそれほど好きじゃないと思う」
 唐突だった。
「ママのほうがきっとあなたのことを好きなんじゃないかなぁ」
「でもぼくはきみのことが好きだよ」
 戸惑ってしまう。
「恋い焦がれるほどじゃない、でしょ」
「じゃあ、このキスはなに」
 そのひとの娘の唇にぼくの唇を重ねてみる。
 唇を離し、少し見つめあってまたすぐに唇を重ねる。今度はもっと深く。
「でもちょっと違う」
 なにと、誰と比べて、なにが、どう、違うのだろう。
「そんな気持ちになったことない?」
「どんな?」
「好きなんだろうけど、もしかしたらそれほどでもないなぁって」
 そのひととはそんな関係でもないし、そのひとの娘もそのことはわかっているはず。
 でも、ぼくの脳裏にそのひとがちょっとだけ浮かぶ。
「どうしたいのかな」
 また軽く唇を重ねる。
「どうしたいってわけでもないの」
 今度はそのひとの娘から唇を重ねてくる。
「なんとなくそれほど好きじゃないと、ふと思っただけだから」
 そのひとの娘は真っ白のシーツを鼻の上まで引き上げると、いたずらっぽくぼくをみつめた。

Written by ken1

2005/11/01 @ 00:44

カテゴリー: her

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。