Archive for 7月 2007
CASINO ROYALE
007/カジノ・ロワイヤル。ダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ通算21作目。「007/ゴールデンアイ」「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル監督。2006年英国アカデミーの音響賞です。もともと007ものは好みではありませんでした。高級車をちゃっちく改造したりのイメージがあったので。今回の007はクールですね。台詞も少なくて、その分、笑顔が素敵です。小道具もちゃっちいイメージないし。ただお腹が出ているのが気になったんだけどなぁ、あれも筋肉なんでしょうね、すごい。でも、なりたてのボンドにしては顔がシワシワ、まっいいか。娯楽映画とは一味違う感じで、スパイものを楽しめる内容になっています。
ドライマティーニは「ジン3にウォッカ1、キナ・リレ1/2とレモン・ピールのスライス」ヴェスパーと名付けられました、銀座のbarで通じるかなぁ。
きみのもしもし #22
ハッピーバースディと言いそびれてしまった。
ぼくの誕生日のサプライズへのお返しに、日付が変わったその瞬間、ぼくもきみにおめでとうを言おうと思っていたのに。
ーもしもし。
どう切り出そうか。
もしもしとメールを書き始めて、削除した。やはりこんなときはメールじゃだめだ。
もしもしとケータイにかけてみる。でも、きみが取る前に呼びだしを止める。
どう切り出そうか。
ーもしもし。誕生日おめでとう。
今日はまだ6時間残っている。
promise #51
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婦長の言った通り、中庭を離れると潮の香りが明の体を包んだ。そして、足元には優しい潮風が吹いていた。
明の先方は一面の芝生の上にすぐ空が広がっている。その先から風が香りを運んできている。それはその芝の先が行き止まりで、眼下に海が広がっていることを、明に容易に想像させた。
明は芝生の先にいくつかのベンチがあることを確認すると、今、通ってきた中庭を振り返った。
ーあれ。
中庭は、いや中庭を囲む診療所をふくめて、霞がかかったようにかすんで見え、またゆらゆらと揺れているようにも感じられた。
ーまたかよ。
最近この感覚がよく明に起こる。明は単なる夏バテかと思っていたが、どうもそうではないらしい。明はおねえさんの彼氏の診断を思い出した。そのとき、聞き覚えのある声が、肩越しに聞こえた。
「心配事でもありそうね、明くん」
「れいな?」
聞き覚えのある声に振り返ろうとして明は、膝の力が抜け自分が崩れて行くのを知った。真っ白になる風景に自分を見つめているであろう人影と、頬にはひんやりとした芝生の肌触り、そしてその緑の匂いよりも強い潮の香りが鼻をついた。
「あーくんの意識が消えた、、、」
葉子の部屋で服を着ながらおれの口からつい言葉が漏れた。
「どういうこと」
「あーくんに何かあったんだ、きっと」
「わかるの?」
「ただ、何かが消えただけ。わかるってほどじゃないけど。でもっと何かあったんだよ」
心配な眼差しでおれを見つめる葉子の頬を掌に収め、柔らかい唇にキスをした。
「これから行くんでしょ」
「うん、行くよ」
「わたしも一緒に行ったら、だめかな」
おれは葉子がきっとそう言うだろうと思っていた。
「だめじゃないけど、今回は留守番しててよ」
「ぜったいだめ?」
「何かあったら携帯に連絡するから。もしかしたらいろんなこと頼むことになるかも知れないし。そのときはきっとハコがこっちにいてくれてたほうが、何かと助かると思うんだ」
頭のどっかで一個の信号が消えたままの状態、信号そのものはあるんだけど、何かが足りない感じ。おれは感触の悪さを抱えたまま、今度は葉子の額にキスをした。
「行ってくる」
ー白い天井、レースのカーテン。
明はぼんやりとした意識の中で、周りの状況をイメージしてみた。
体全体は気だるい感じで包まれている。起き上がるにはまだ早い、と体が囁いているのがわかる。視点も定まりそうにない。そんな中、左手に人影を感じていた。人影のイメージは温かく、優しい眼差しが伝わってくる。
「明くんもこのままずっとここに入院しちゃえばいいのに」
ーえっ。
「そうすれば、ずっと一緒にいれるのにな」
明は残っている意識を耳に集中させた。
「さみしくなくなるのに」
ーそれもいいかも知れないな。
再び消えゆく意識の中で、明はふとそう思った。
(続く)
きみのもしもし #21
「観に来ない?たっくさん借りたんだ」
ー珍しいね、そんなに沢山借りるなんて。
「もっしもっし、聞こえてるぅ」
ー聞こえてるよ。
「なにを借りたか聞きたい?」
ーいや、着いてからのお楽しみにするよ。
すごく楽しそうなきみのもしもし。
何を観るかよりも、そんなきみと一緒に観る、そのことが楽しそうだからさ。
THE WEATHER MAN
ウェザーマン。劇場未公開なんですね、この映画。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のゴア・ヴァービンスキー監督、そしてニコラス・ケイジ主演です。相変わらず、ニコラス・ケイジは情けない役にハマっています。すべてにおいてハッピーエンドなんてないんだから、ひとつだけでも手に入れられてそれでいいんじゃないかと思います。元家族とも仲良くなれているし。人生なんてクソったれ、切り捨てて行くことも大切なんだと、父親:マイケル・ケインが言い残します。いつまでたっても親は子供を心配するものだとも。マイケル・ケイン父親の言葉はすべて「そうだよなぁ」と思いつつ、こんな息子を残して死ぬのもやっぱり心残りだよなぁ、とも思いました。で、父親に「good job」って言われるのってやっぱり最高だと思うけどね。