風、空、きみ

talk to myself

Archive for 9月 2007

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promise は今回で終わりです。最終話です。2006/8/13から毎週末欠かさず書き続け、やっと60話で完結しました。60週連続と言うことです。でも、その前の作品もその前の前の作品も書き始めると毎週末を欠かしてはいないと思います。今回もぼくはえらいなぁ。好きこそものの上手なれ、下手の横好き、どちらでもかまいませんが、継続できたことはすごいと素直に思っています。友だちのライターからの「男の子の友情ものが読みたい」とのリクエストから始まりました。きっとその友だちが期待していたのとはまったく違うストーリー、展開にそれてしまったなぁと少しだけ反省しています。けどこれが今のぼくの限度でしょう。またしばらくしたらチャレンジしてみます。「来月から新作ですか」との声もありますが、来月はおやすみします。「きみのもしもし」もしくは未公開の過去の作品を掲載予定、またはスコンとおやすみします。60週もお付き合い頂いたそこのあなた、あなたあっての継続でした。ありがとう。(ちなみに読み返すとかなりつじつまの合っていない作品になっていますね。一度まじめに腰を入れてリライトする必要ありとも思っています)

Written by ken1

2007/09/30 at 09:41

カテゴリー: promise

promise #60

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, originally uploaded by only alice.

 おれは街に戻ると、普通に生活を始めた。普通の高校生として、普通の息子として、普通の男の子として。
 
「泉堂は先日旅行先で亡くなったそうだ。ご両親から連絡があった。密葬をすでに済ませているとのことなので」
 担任は迷惑そうな表情で言葉を続けた。教室内のざわめきの中、おれはあーくんの机を静かに見つめていた。
「小早川、お前、知ってたんだろ。いつもつるんでたんだからさ」
 同級生が友だち面して聞いてきた。
「知ってたら、何だって言うのかな」
ーなんだよ、こいつ。
ー昔からそうだよ。
ー相手にするのやめようぜ。
 教室の端の方にそんな声を感じた。
 ほんとの友だちじゃないやつの声は聞こえるって本当なんだな、おれはあーくんや麗奈の言葉を思い出した。

「明くんは残念だったな」
 父親が元気づけようとしてくれた。
「大丈夫よ。明くんはいつも祐二くんのこと、見ていてくれるから」
 母親もとても心配しているのがわかった。
 おれはふたりに、ありがとう、と言った。
「すぐに行かせてくれたから、間に合ったんだ。感謝してるし、ぼくは」
 でも、涙をこらえるのが精一杯だった。
 母親は夕飯はおれの好物だと、父親はビールを冷蔵庫から出しておれにすすめてくれた。
 もう大丈夫だよと、おれはビールを一口飲むと、ふたりにそう伝えた。

 葉子との関係だけが、変わってしまった。
 あーくんとの約束、それはこれからずっと実現させ続けるには難しいことだと感じていた。
 あーくんは麗奈のことが大好きで、麗奈の笑顔を絶やさないように、麗奈の側を選んだ。
 おれはどうだろう。
 おれも麗奈のことが好きだったことには、変わりない。ただ、あーくんほど飛び込める勇気はなかったし、飛び込むことを思いもつかなかった。自分で本当の自分の気持ちに気づかなかったのかも知れない。麗奈のことが好きなくせに、素直に口に出せなくって、葉子と付き合っていたのかも知れない。
 葉子がいつか思っていた気持ち、聞こえてきた響き、
ーじゃあ、祐二は誰のことが好きなの。
 葉子がいなくなってはじめて、葉子の勘は当たっていたんだろうな、と思うようになった。
 葉子とはこの街に戻ってくると、自然消滅的に、会う回数も減り、メールのやりとりもなくなってしまった。

「ハコちゃんと一緒にレイと明くんの墓地に毎年献花するんでしょ」
 隣で寝息を立てていたおねえさんが背後からおれの首元に唇をつけ、そうしなさいと言ってきた。
「それが明くんとの約束なんでしょ」
 おねえさんの柔らかな乳房が、おれの背中に優しく触れる。葉子と入れ替わるように、一人暮らしを始めたおねえさんとたまにこんなことを繰り返す。
ーハコとは別れたんだよ。
「ひとりじゃだめかなぁ」
「だめでしょ」
「おねえさんとじゃ」
「もっとだめ」
 誰かに言っておかないと、そのまま心の奥にしまい込んじゃいそうな、そんな弱いおれが、一度だけおねえさんに打ち明けたことがあった。
 それがあーくんとの約束、葉子には言えなかったその約束、さっきおねえさんがそうしなさいと言ったこと。
「今年こそ、ハコちゃんと連絡をとりなさいよ。去年も連絡してないんでしょ」
「もう連絡先も変わってるよ、きっと」
「そうかなぁ、まだこの街にいるよ、ハコちゃんは。たまに見かけるもの」
 おねえさんのベッドの上で、白く柔らかな素肌を目にしながら、変な気持ちがおれを包む。
「遠慮しなくていいのよ。わたしは隣のおねえさん」
 笑顔でそう言ってくれたおねえさんとおれは、唇を重ねた。

ーハコ、今年は連絡をするよ。ちゃと電話に出てくれるかな。
ー何言ってるの。わたし、ずっと待っているのよ。
ーあれからなんとなく気まずくなってただろ。
ーやっぱり明くんのことはショックだったもの。
ーうん。
ーわたしたちが優しい気持ちで手をつないでいないと、明くんも麗奈も安心できないよ。

 夢を見ていた。
 おねえさんのベッドで目が覚めると、おねえさんはもういなく、テーブルにメモが残っていた。
ーハコちゃんに連絡とりなさい。まだ間に合うわよ。楽しかったわ。
 まったくなぁ、苦笑いをしながらおれはそのメモを読んだ。
ーでも、そうかなぁ、うん、きっとそうだよね、由香ねえさん。

 通りに出ると、もうお昼近くで、残暑の陽射しはまだ肌に刺さるように痛かった。
「もしもし」
 少し日陰になっているガードレールに寄っかかり、ケイタイに向って葉子への言葉を復唱してみる。復唱だけでもけっこう勇気が必要だった。
「もしもし、祐二だけど」
 もう一度繰り返す。少し胸がしめつけられる気がした。
ー何やってんだよ、ゆうちゃん。
ーえっ。
 ケイタイから顔を上げると、腕を組んだあーくんと麗奈が向かいのガードレールに腰かけて、笑顔でおれを見つめていた。

(完)

Written by ken1

2007/09/30 at 09:18

カテゴリー: promise

neighboring

with 2 comments

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neighboring, originally uploaded by hello.ken1.

スタバで隣り合わせのアイスコーヒー。もう季節は十分秋のはずなのに、昨日はやっぱり「アイスコーヒー、ショートで」とたのんでしまう。新しいレンズでの初掲載。ふむふむ、背景はとてもよいボケ加減です。w/OLYMPUS E-510 plus SIGMA F1.4 30mm

Written by ken1

2007/09/23 at 08:23

カテゴリー: life, photo

promise #59

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, originally uploaded by Lili Les Roses.

 その日の夜に、あーくんは眠ったまま、二度と目を覚ますことなく、自らのすべての機能を停止させた。その連絡をおれは葉子が泊まっているホテルで聞いた。
「明くんが亡くなったそうだ」
 連絡は麗奈のお父さんから受けた。お父さんの言葉数は少なく、感情が押し殺されているようで、無機質に響いてきた。しかし、1時間前におれはあーくんと最後の言葉を、この部屋で交わしていた。

ーほんとにこれでさよならだ。
 部屋の灯がかすかにまばたき、足元に冷気を感じた。葉子は金縛りにあっているかのごとく、身動き一つ、まばたきひとつしなかった。
ーそうか。さみしくなるな。
 おれは淡々としていた。それはあーくんも同じだった。既知の事実、動かしがたい、病室での会話で覚悟はできていた、だからだろう。
ーお互いな。
ー麗奈もそこにいるんだろう。
 冷気がひざ上まで絡んできた。
ー麗奈、もうさみしくないか。
ー、、、うん。
ーよかったね。
ーごめんね。
ーううん、麗奈の笑顔が、おれたちは大好きだったんだ。その笑顔が見たくてあーくんは今、麗奈のそばにいる。そして麗奈の笑顔をおれも感じることができる。これでよかったんだろうし、なるようになったんだよ。
ーそうかな。
ーそうだよ。
ーやっぱり祐二くんは優しいね。
 何が本当に優しい行為なのか、おれには判断もつかなかった。ただ、麗奈にそう言ってもらえるだけで、おれはおれなりに肩の荷が下りた気がした。ずっとずっと会いに行こうと決めていて、結局会いに行けなかった麗奈に対し、おれとあーくんが心に決めていた約束、それを果たせた気がした。あーくんの取った行動とはまた違うけれども、麗奈の笑顔が見える、それがうれしく、ほっとしている自分を感じていた。
ーゆうちゃん、そろそろ行くね。
ーそうだね。麗奈をよろしくな。
ーハコと仲良くやれよ。
 いろいろあったなと、おれたちは苦笑いをした。
ーそれから、あの事、頼んだぜ。
 右手にあーくんの温もりが伝わってきた。おれはその温もりに対し強く握り返した。その温もりもおれの手を強くつかむと、でも次の瞬間にはあーくんは一方的に力を緩めた。そして二度と握り返してくることはなかった。
ーおお。
 あふれ出る涙を、おれはぬぐうことはしなかった。

「今、行っちゃったんだね」
 葉子がおれの肩に頬を乗せてきた。
「ずるいなぁ、おとこの友情って。さんざんわたしを使っときながら」
 葉子が優しく微笑みながら、泣いている。
 おれは葉子の涙にキスをすると、そのまま抱き寄せ、ぽっかりと空いた穴を互いに埋めるかのように体を重ねた。

 翌朝、珈琲の温かい香りがおれを目覚めさせた。下のコンビニで買ってきたインスタントものだけど、と葉子はそっとベッドサイドに珈琲を置いてくれた。
「病院は?」
「行かないよ。さぁ、帰ろうか」
 おれと葉子は軽く唇を重ねると、ホテルを後にした。

(続く)

Written by ken1

2007/09/23 at 07:48

カテゴリー: promise

THANK YOU FOR SMOKING

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サンキュー・スモーキング。マイナーな劇場公開が最終的には米国全土公開になったとも?とどこかで読んだ映画です。笑えたし、頷けたし、こんな親父に愛されている息子も幸せだろうな、と思いました。主人公ニック・ネイラー役のアーロン・エッカート、とにかくよかったです。「何のために働いているの」「ローンを返すためさ」そうは言ってもそれだけじゃない。で、この映画、なんやかんや言ってもタバコを吸っているシーンがひとつもありません。ニクイですね。どうぞ楽しんでください。

Written by ken1

2007/09/16 at 22:17

カテゴリー: cinema

きみのもしもし #26

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ーhello, hello. how is the weather ?
 洗濯物をベランダに干しながら、今朝の青空を見上げていると、旅行に出ているはずのきみからメールが届いた。
 そっちの時間は深夜だろうに。ホテルのロビーにパソコンでもあったのかな。
 とにかくきみがもう寝れますようにと、すぐに返事を打ってみる。
ーit is a fine day, and good blue sky.
 旅行中は来ないと思っていたきみからのもしもし。
 かなりのサプライズで、ぼくの一日は笑顔の幕開けになったよ。

Written by ken1

2007/09/16 at 11:55

カテゴリー: kiss

promise #58

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innocence, originally uploaded by fernandadesu.

 葉子は「しょうがない人ね」とおれの首筋にキスを残し、病室を後にした。
「中庭にいるから、いつでも呼んでね」
 おれの足元に絡んでいた冷気も、葉子と一緒に病室から消えた。麗奈も中庭に行ったんだろう。
 しばらくすると病室の窓から、中庭のブランコに腰かける葉子が見えた。葉子は手を振っている。そして、葉子の笑顔はおれの心を穏やかにしてくれる。ブランコは後方の大きな木に守れて、葉子を陽射しが包むのも遮ってくれている。

 中庭に臨む窓から離れ、おれはもう一度あーくんのベッドサイドに腰かけ、あーくんの手を握りしめた。
「あーくんの言葉が直接おれの心に響いてくると、それはもう今までの友だち関係じゃなくなったってことなんだね」
 あーくんの表情は何一つ変わらない。
「あーくんとはすっごい友だちなんだから、もう全部わかってるだろうってことなんだよね」
「、、、わかってるよ。麗奈にずっと淋しい思いをさせてた責任を感じてるんだろう。あの日、新幹線のホームでおれたち約束したもんな、会いに行くってさ」
「でも、結局会いに行けなかった。麗奈の方から会いに来ちゃったね。そして麗奈はもうここにはいなかった。麗奈はこっちにもあっちの世界にもいけなくって、彷徨っているんだよね」
「だからってあーくんがあっちの世界に行くことはないだろう。おれと一緒に麗奈をもう一度見送ってあげれば済むことじゃないのか」
「どーなんだよ、あーくん。そんな説明もなくって、そんなことも一言も相談なくって、、、勝手にひとりだけ眠ってんじゃねぇよ」
 おれの指もあーくんの指も白くなるほど、いつの間にかに、おれはあーくんの手を強く強く握りしめていた。

 強く握りしめすぎていることに気づいて、少し力をゆるめた、その時だった。いきなりラジオのノイズがフルボリュームで聞こえてきた、そんな不意打ちがおれを襲った。
ーガガガガ
ーしょうがないじゃん。
ーガガ
ーずっと好きだったし。今も好きなんだから。
 あーくんがおれの手を握り返してきている。でも、表情は変わらない、眠ったようなまま。
ーゆうちゃんは、いつもだったら、人が思っていることを自分の意思ではないにしろ、たまに心でキャッチできてたんだろ。
ー。。。
ーそこに話しかけるのって、むずかしいんだね。麗奈が言ってた通り、今までおれたちだと普通だった「話さなくても分る」ってのが、今回はけっこう厚い壁になってるね。
ーその壁どうした。
ーとっぱらった。
ーそれって。
ーうん、普通の友だち、そして単なる知り合い、だよな。
ー。。。
ーもう会えないからちゃんと言わないと、それにゆうちゃんも直接おれの口から聞きたかったんだろ。
 その言葉をあーくんから聞けただけで、もうこれ以上は何も聞かなくても分るとおれは思ってしまった。あーくんもそう感じているようだった。
ー分ってくれるよな。
ー分ってたよ。でも少しだけ自信がなくて、もう一緒に遊べなくなると思うと、どうしても最後に話がしたかったんだ。それが単なる知り合いになることにつながろうとも。
ー忘れられちゃうのかな、おれ。
ーそんなわけないじゃないか。あーくんとおれだぜ。
ー忘れられないためにおれができることはもうきっとないんだろうけど、おれが忘れられないためにゆうちゃんにお願いがあるんだ。

 おれは「何でも言えよ。何でもきいてやるから」と、何度もあーくんの表情のない寝顔に向って繰り返した。

(続く)

Written by ken1

2007/09/16 at 11:31

カテゴリー: promise

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