Archive for 4月 2010
up ( carl-gsan )
カールじいさんの空飛ぶ家。メルヘンちっくな映画を想像して観ました。結果はそれだけではなく、アドベンチャーとも言えますね。根底にあるのはエリーへの愛であることは間違いないですが。冒頭の10分で泣けます。切ないなぁと。台詞が一切ないこの10分。さすがピクサーですね。そしてアドベンチャーへと続いていく。よい映画です。
ところで誰もカールじいさんなんて呼んでいません。「フリドリクソン」さんです。これはこの映画のネタになっているであろうアイスランド映画「春にして君を想う」の監督フリドリクソンさんに敬意を表してそこからきているようですね。
kuhio taisa
クヒオ大佐。堺雅人演じるクヒオ大佐が、と言うより堺雅人が絶妙です。松雪泰子も満島ひかりも中村優子も新井浩文もよいです。キャスティングの妙でしょう。実在した結婚詐欺師のお話ですが、どうしてチープな結婚詐欺に騙されちゃうのか。満島さんの「どうしてわたしなのよ」に対して、松雪さんの「( あのひとはあなたのことを ) 好きだから騙すんでしょう」と。切ないな。
きみのもしもし #138
カフェのオーニングの下で、
ファインダー越しにきみを観察する。
はなさき、くちびる、つめ、みみたぶ、いろんなところにピントを合わせる。
そして、今はまつげにピントを合わせている。
ーポートレートはまなこに合わせるのがいいんだけど、むずかしいからまつげかな。
そんなことをどこかでだれかが言っていたような、ふとそんな気がした。
きみはと言えば、いっこうにぼくの方を向くこともなく、何か遠くを見ているよう。
「もしもし、いつシャッターを切ってくれるの」
ーえ。
ぼくはファインダーから眼を外す。
「おすましポーズしてるんだから、早く撮ってよ。そろそろこのポーズ無理っ」
ーなーんだ、そうだったんだ。
「もう少しだけ。ひかりと風も一緒に撮れそうだから」
きみは「また始まった」と言いたげな視線でぼくを見た。
チャンスっ。
ぼくはすかさずシャッターを切る。
もちろんピントはまつげのままで。