風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #138

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 カフェのオーニングの下で、
 ファインダー越しにきみを観察する。
 はなさき、くちびる、つめ、みみたぶ、いろんなところにピントを合わせる。
 そして、今はまつげにピントを合わせている。
ーポートレートはまなこに合わせるのがいいんだけど、むずかしいからまつげかな。
 そんなことをどこかでだれかが言っていたような、ふとそんな気がした。
 きみはと言えば、いっこうにぼくの方を向くこともなく、何か遠くを見ているよう。
「もしもし、いつシャッターを切ってくれるの」
ーえ。
 ぼくはファインダーから眼を外す。
「おすましポーズしてるんだから、早く撮ってよ。そろそろこのポーズ無理っ」
ーなーんだ、そうだったんだ。
「もう少しだけ。ひかりと風も一緒に撮れそうだから」
 きみは「また始まった」と言いたげな視線でぼくを見た。
 チャンスっ。
 ぼくはすかさずシャッターを切る。
 もちろんピントはまつげのままで。

Written by ken1

2010/04/25 @ 12:01

カテゴリー: kiss

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