Archive for 6月 20th, 2010
きみのもしもし #143
「またおみくじ、引くんでしょ」
きみがぼくのとなりで笑っている。
「毎回どっかでおみくじ引いて、どれを信じるのかなぁ」
きみが少しだけ不思議そうな顔をする。
ぼくは「だからさ」と言いながら、巫女さんに100円玉を2個渡す。
きみは「ははん」とものしり顔でぼくに近づく。
「巫女さんとの会話が目的でしょ」
ぼくは「だからね」と少しだけ苦笑いをしながら、おみくじを開く。おや、末吉。
振返るときみも巫女さんに100円玉を渡している。
そして、
「もしもーしっ、もしもーしっ」
きみはしたり顔で、開いたおみくじをぼくに見せた。
「大吉です。おすそ分けしたげます」
そんなきみの笑顔を見ていると、
確かにぼくの末吉も大吉に見えてくるから不思議なものだ。