Archive for 8月 29th, 2010
きみのもしもし #150
ー昨日、何したか、覚えてるっ?
気づくと今、ぼくはMacを前にうとうとと意識が飛んでいた。
何したか?
今日の睡眠不足の原因は、久しぶりのきみとの時間。
覚えてるっ?って言われても、覚えている限りのことには自信はあるんだけど。
ーいいんだけどさ。
よくないときに限って、誰でも使うフレーズ。きっときみも例外じゃないんだろうな。
ー忘れるんだろうな、無理だろうなって思ってたけどさ。
返事を打つ暇も、このタイミングで返事する勇気もない。
ーもしもし、あのね、待ってたんだよ。
あっ。そうだっ。
ぼくはもうこれ以上、きみからのメールを受け取る訳にはいかない。
そうだよね、別れ際に約束したよね、そうだったよね。
怒っているようにも読めるきみからのメール、
そうじゃなかったんだね。
ずっと、きっと、心配してたんだよね。ぼくは心配かけてたんだよね。
「ちゃんと帰り着いたよ。安心していいよ」
ぼくは声を伝えた。
「なら、いい」
きみは小さく頷いた。きっと頷いた。
「もしもし」
もっと小さいきみの声。
「ほんと待ってたんだよ」
「うん、」
ありがとう、ぼくも小さくつぶやいた。