風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #168

leave a comment »

「そうだよ。両腕は後ろに大きく振るんだよ」
「そうなんだぁ」
「うん。前には小さくね」
 きみは真剣に頷きながら聞いている。
「そして、足は踵からじゃなくて指から地面に着くんだ」
「小学校のときにそれ知ってれば、わたしもかけっこ好きになってたかなぁ」
 きみはぼくの昔の卒業記念アルバムを見ながら、突然かけっこのこつを聞いてくる。
ーかけっこかぁ。
 おや、きみがぼくを覗き込んでる。
「もしもし、でもぉかけっこ早かったの?」
 懐疑的なきみのもしもし、よいところに気づいたね。
「理屈どおりにはいかないから、楽しいんだよね」
 きみはぼくの返事も待たずに、またアルバムからぼくの姿を探している。

Written by ken1

2011/01/15 @ 19:23

カテゴリー: kiss

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。