Archive for 3月 2011
きみのもしもし #175
「起きなさい」
朝方まで飲んでいたぼくを起こすきみがいる。
「いい天気だよ。お散歩にうってつけ」
きみに起こされるのは嫌いじゃないけど、まだアルコールが抜けきってないよ。
ぼくはきみが差し出す目覚まし時計を受けとって時間を確かめる。
まぁ十分な睡眠時間ではないにしろ、起きるにはもうよい時間かも知れない。
「お風呂でアルコールを抜いてらっしゃい」
きみはぼくが抵抗できないと思っているらしい。
それでもぼくは布団にくるまり、うだうだと無言の抵抗を繰り返す。
「もしもし、これを預けてくれたのはあなたなんだからね」
目覚まし時計に続いて目の前に差し出されたのはこの部屋の鍵。
きみはうれしそうに鍵を揺らしている。
そう、陽射しをバックにぼくの枕元に立っているきみがいる。
「起きよっ」
きみがぼくの手を取る。
しょうがない、観念して起きますかね。