Archive for 5月 2011
きみのもしもし #186
寒い朝、ふとんから出るのもおっくうなぼくがいる。
「もしもーしっ、お目覚めの時間ですよぉ」
ーえっ。
ドアの向こうからいないはずのきみの声。
そしてショートパンツにTシャツ姿のきみがドアを明るく開ける。
「どう、今日のこのかっこ」
Tシャツの中できみの胸がゆれている。
「もしもしっっ。もうぉどこ見てるんの」
ーそうかも知れないけど、それよりなんで今ここにきみがいるの。
目のやり場にも困るし、頭の整理つかないし。混乱している。
「いいじゃん。来たくなったんだからさ。それよりねぇ」
ーえっ。
やっぱり肌寒いのよねぇ、ときみは言いながらぼくのふたんにもぐりこんできた。
「うん、あったかい」
きみの胸がぼくの胸に触れる。
「少しだけ、このまんま。も少しで珈琲はいるからさ」
きみはもっと温まろうと、ぎゅっとぼくに触れてくる。
いいんだけどさぁ。うーん。
Baby Bessa 66 (Klein Bessa 1938-1941)
Bessa66 を手にしています。ハッセルブラッドを日々持ち歩くにはやはり重量ありすぎで代わりの機器を探していました。知り合いTさんからBabyRollei(ROLLEIFLEX44)を薦められていましたが、やはりベスト判のフィルム購入と現像ルートが限られるので、今回は知り合いHさんからの情報でBabyBessa66にしてみました。もちろん購入はeBay落札、ロンドンから届きました。最初期型です。まずはじめにルックスがかっこよい。ここまでかっこよいとは思いませんでした。重量も手触りもすばらしい。距離計もメートル表示でラッキー、シャッタースピードは175まで、これは慣れないとね。と言うことで満足しています。さてとちゃんと写るかどうか。ははは。
きみのもしもし #185
ーもうこんな時間なんだ。
ーそうだネ。
ぼくはフローリングに寝っ転がって、
開け放した窓の向こうの青空を見る。陽も長くなったもんだ。
ー何してた、今日?
ーきみのこと考えてた。
ぼくの親指は何の躊躇もなく、きみからのメールに歯の浮くようなセリフを返信する。我ながらすごいな。
ーもしもしぃ。まったくぅ。
きみが青空の向こうで笑っている。きっとあきれて笑っている。
ーほんとだよ。
畳み掛けるぼくの親指。たしかにすごい。
ーはいはい。
きみは軽く受け流す。
そしてぼくらはこれから会う約束を交わした。
きみのもしもし #184
久しぶりにきみに珈琲をいれてもらう。
「ホットとアイス、どっちがいい?」
そしてきみとの他愛もない会話が始まる。
「もしもし?ちゃんと聞いてる?」
たしかに聞いてなかったな。
「もぉお。もしもしぃ?」
お湯を沸かしているときはホットがいいなと思っていたけど、
今日の午後のこの部屋への陽射しを考えて、アイスを頼んだぼく。
「やっぱ、美味しいな」
きみは照れくさそうに微笑んで「あぁあっ、ごまかした」
ぼくはもう一口、口をつけて「ほんとだよ」
そしてぼくらは他愛もない会話を続けた。