きみのもしもし #192
「今から軽井沢行こうよぉ」
今朝のきみからの目覚まし電話は、まったくの突然のお誘いだった。
お誘い?ではなく、おねだりか。
「暑くなる前にこっちを離れるのはよいアイディアだと思うんだ」
連日の猛暑、確かに今から都心を離れるのは正解かも。
「それにね、ランチが向こうでとれるよ。どう?」
「いいね」
ぼくは冷蔵庫からよく冷えたミネラルウォーターを取り出し、喉を潤した。目覚めの一口。
「えっ?もしもし?ほんと?もしもし?もしもし?」
言い出したのはきみ。
そして驚いているのもきみ。
「ピックアップするから早く準備にとりかかりなよ」
「わぁあ、お化粧お化粧」
ー大丈夫、きみのすっぴんはかなりいけてるんだから。
携帯の向こう側で慌て始めたきみ。
ぼくはもう一口喉を潤した。
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