風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #197

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「それも捨てるの?」
 部屋の外から様子を見ていたきみが、多少あきれたような抑揚で声をかけてくる。
 ぼくの部屋は整理のために棚から下ろされた物たちであふれて、足の踏み場もないくらい。
 その物たちを躊躇なく廃棄用の袋に投げ入れるぼくがいる。
「これほんとに捨てるのぉ?」
 きみは半歩足を踏み入れて、ぼくからひとつ物を取り上げる。
「けっこう使ってたじゃない」
「でも最近は使っていないし、もうこれからは使わないからさ」
「愛着とかは」
「感じてたら整理がつかないよ」
「わかるけど」
 と言いながらも、きみはまったく理解できない表情。
 ぼくは別の物をとりあげて、きみに一言付け加える。
「たとえばこれは愛着があるし、まだまだ使えるから、ぼく以外の誰かに使ってもらえるようにするよ」
 まだまだ納得できないきみがいる。
「思い出はね、捨てられないから大丈夫」
「ふぅん」
 ちょっとだけ表情が明るくなったきみは「珈琲入れたげる」とキッチンに入っていった。

Written by ken1

2011/08/20 @ 15:36

カテゴリー: kiss

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