きみのもしもし #198
ー気持ちいいね。
ーそうだね。
挽き終えた珈琲豆をドリッパーに移しながら、右手ではお湯を沸かしている。
2杯分の豆を挽いたが、きみはこのケイタイの向こうにいる。
きみとの一言のメールのやりとりの間に、
挽いた豆が浮かないように、ゆっくりとお湯を置くように注ぐ。
気持ちのいい朝、窓からの風がキッチンを通り抜ける。
ーねぇ午前中にお散歩しようよ。
ーじゃあ、あの公園でどう。
ーうん。あれ?もしもし?
風が止んだ瞬間、キッチンは珈琲の香りで満たされた。
ー珈琲楽しんでるでしょ?
ーきみの分もあるよ。
ーずるいっ。
今朝の珈琲は我ながら美味しくはいっている。
ーもしもし、公園の帰りにそっち寄るからね。またいれてよ。
今日は何杯でも上手にいれることができそう。
ーお楽しみにどうぞ。
公園に向かうまでにはまだ時間があるな。
ぼくはもう少しだけ珈琲タイムを楽しむことにした。
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