Archive for 9月 25th, 2011
きみのもしもし #202
いつの間にかに秋の肌寒さが忍び込んでくる。
先週まであんなに暑かったのに。
いまだタオルケットで寝ていたぼくは、肌寒さから逃げるように起きて、何となくエスプレッソをいれてみる。
リビングのテーブルには昨日きみと遊んだ真新しいカメラが一台、ぽつんとぼくを待っていた。
「すました顔をしてみてよ」
「いいよ」
でも、ぼくのリクエストにきみは笑っている。
今回のデジカメにはライカの古いレンズを取り付けた。
ピントと絞りはマニュアル、シャッタースピードはカメラ任せ。
「もしもし」
ん。
「ひとりで悦に入ってないでね」
ぼくをお見通しのきみのおすましな顔がファインダー越しに見えた。
苦い香り漂うエスプレッソを飲みながら、モニターに写るきみの写真を観てみた。
うん、良く撮れている。世の中に1枚しか存在しない最初の1枚。こうでなくっちゃね。
きみの笑顔を思い出しながら、朝から自画自賛なぼくがいる。