きみのもしもし #204
今夜こそは寝なくっちゃと思いつつ、いつもの週末の深夜のパターンに陥っている。
ーこのところ忙しそうだから、今週末はよく寝なさいね。
きみの言葉が思い出される。
でも、忙しかった平日の時間を埋め合わせるように、週末は非日常的な生活パターンになっている。
ーそれはそれでいいのよ。そうすることできっと精神的にリフレッシュできるんでしょ。
リフレッシュの源はきみの笑顔かも知れないな。
少し弱気なぼくはひとりですごす今週末にぽつんと空いた何かを感じた。
何なんだろう。
眠気覚ましにジンを少しだけ口にする。
フォトスタンドのきみを見る。
デジカメの中のきみを見る。
ケータイの中のきみを見る。
やっぱり会えばよかったかな。今更ながらに思ってしまう。
ーもしもし、ちゃんと寝るのよ。
もう寝ているはずのきみの声、フォトスタンドのきみが優しく話しかけてくる。
分かってるよ、でもね。
ぼくは苦笑いで、もう一口だけと、またジンを口にする。
風、空、きみ 
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