きみのもしもし #208
「また買ったんだ」
きみが半分あきれ顔で昨日届いたカメラを触っている。
「よく次から次に見つけてくるね」
ー次から次にじゃなくて、気になっていたのがたまたま出て来ただけだよ。
「い・い・わ・け」
ーでもさ、どう、なかなかいい雰囲気もってるでしょ、それ。
「そうだけどさ」
今まできみにも触らせていたカメラとは違う、今回は縦型のボディ。
きみはどう扱っていいのか、少し慎重に触っている。
ーあのね、絞りはこっち、シャッタースピードはこっち、そして露出計の針に合わせたらさ、ピントはこっちだよ。
「もしもし。わたしは被写体になるのっ。あなたのカメラでしょ。早く撮ってよ」
最初の1枚、それはきみ。大丈夫、忘れてないからさ。
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