きみのもしもし #210
一晩、きみに預けたカメラ。うまく撮れてるのかな。
軽くそんな心配をしながら、
でも基本操作は事前に教えたので、実のところまぁそんなに心配もしていなく。
ただどんなタイミングでカメラを取り出して、いったいどんな写真を撮ってくるのか、
結構、楽しみにしているぼくがいる。
そんな時間をひとりグラスを傾けながらすごしていると
ーもしもし。ファインダー真っ黒、見えない。
ーもしもし。近くにピントが合わない。
ーもしもし。他の人に触らせてもいい?
いきなり三通のもしもしメール。
撮り始めたということか。わかりやすいな。
ひとつ、露出補正でアンダーになっていませんか。
ふたつ、デジカメとは言え古いレンズを装着しています。最短焦点距離は80cmです。
みっつ、よいよ。みんなで楽しみなさい。
ー了解。もう大丈夫。
カメラを構えたきみの姿が目に浮かぶ。
「楽しそうでいいなぁ」
ぼくはぼそりとひとりつぶやいた。
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