きみのもしもし #213
ひさしぶりにきみに会った気がする。
「そうかなぁ」
きみの両手は温かな珈琲カップを包み込んでいる。
かじかんだ指を温めるのにちょうど良さそう。
「もしかして」
きみは外の寒さから落ち着くと、上目遣いにぼくを見つめる。
「もしもしっ」
少し強めの口調。
「もしかして、前回、いつどこで会って何したか、忘れてなぁい」
そんなことはないのだが、一瞬だけぼくらの時間が止まった。
「やっぱりね」
いやいやいや、ぼくは懸命に首を横に振る。
talk to myself
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