風、空、きみ

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きみのもしもし #214

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「今年はちゃんと間に合わせる気なんだ」
 住所録が映し出されているディスプレーを覗き込みながら、きみは半信半疑の顔をしている。
 そんなきみを軽く無視して、ぼくはともだちの住所の確認と更新を進める。
「もしもしっ、ちょっと待って」
 きみが突然ディスプレーを遮るように割り込んで来た。
 そして、不満げにぼくに振り返る。
「わたしの住所、古いっ」
ーえっ。
「引っ越した先の住所、ちゃんと教えたよね」
ーこれは年賀状向けの住所録であって、それにきみには毎年ケイタイ年賀メールじゃん。
 なんて言い訳は通じないか。
 スマホに登録済みのきみの新しい住所、こちらでご納得いただけないかな。
 そんなスマホに頷きながらも、
「それとこれとは違うのっ」
 きみは自らキーボードをたたき、自分の住所を登録しはじめた。

Written by ken1

2011/12/17 @ 20:34

カテゴリー: kiss

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