Archive for 12月 25th, 2011
きみのもしもし #215
表参道の雑踏、季節のイルミネーション、そして週末。
まさかこんなにまで混んでいるとは思わなかった。
「あなたは甘いっ」
きみは楽しそうに笑っている。
それでも、ふたりで少しだけ歩いたところで、
ちょっと立ち止まり、はにかんで言った。
「プレゼント買ってもらってもいい?」
たしかに手ぶらできみを待っていたぼく。
雑踏の中のカップルたちは、みんな赤とみどりの紙袋を持っている。
「。。。もしもし」
きみは小さな声でぼくを見つめる。
「いいよ。なんなりと」
見栄っ張りのぼくは胸を張って頷く。
きみにまた笑顔が戻る。
「お店、この先なんだ」
きみの満面の笑顔って、いいなぁ。
そんなきみは僕の手を引き、雑踏の中をお店に向かって、小気味好くすり抜けて行く。