きみのもしもし #216
寝正月、と言うか、
布団にくるまって、本を読んでいた。
なんとなくごろごろと寝返りを打ちながら。
するとひとりふたりと、ケイタイメールでの賀状が届く。
Twitterでも、Facebookでも、つながっているみんなの笑顔がアップされる。
きっと郵便受けにはハガキの年賀状が届けられているんだろうな。
「もしもしっ、ネットとかケイタイじゃなくてさ」
きみが「おめでとう」の言葉に続けて口にする。
「ナマのわたしと初詣行きたいでしょっ」
ナマねぇ。ぼくはケイタイを耳に当てたまま正月早々、苦笑する。
「ねっねっねっ、もしもし、聞いてるぅ?」
起きるからさ、ちょっと待ってて。ぼくは本を傍らに置いた。
寒いじゃん。
「だからぁ、ナマのわたしと会うんだよ」
ぼくは新年早々、きみの声にちょっとヨコシマな思いで布団から出た。
「おめでとう」
「うん、おめでとっ」
今年もよい年となりそうだ。
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