Archive for 1月 15th, 2012
きみのもしもし #218
古いバーのカウンターできみとグラスを酌み交わす。
真新しいコートでぼくより5分遅れて到着したきみ。
寒いよねぇと両手をこすっている。
ナッツしか出てこないこのお店で、空きっ腹に直接ウイスキーを流し込む。
そこまでつきあう必要もないのに、同じものを注文するきみ。
酔いが回るのが少しだけ早いみたい。
薄明かりの中、ほんのりとピンクに染まったきみのほほ。
「もしもし、これからどうするつもりなの」
アルコールの分だけ艶っぽい仕草で、きみが5cmの距離で問いかける。
ーさてとどうしましょうかねぇ。
頼んだばっかりのお代わりがもどかしく思えた。