Archive for 2月 2012
きみのもしもし #224
「初恋ねぇ」
ぼくは遠い昔に想いを巡らす。
中学は何もなかったなぁ。文通はしていたか。
小学生のときは、好きだった子をいじめてばかりいた。
そっかぁ、初恋は幼稚園のときだ。あれ、名前が出てこない。
「話、聞いてくれてるのぉ、ちゃんとぉ」
おっとっと、聞いてるよ。
「でね、初恋ってやっぱり結ばれないものなのかな」
きみはどうなんだろう。
きっとぼくとは初恋じゃないはずなんだけど。
「初恋の人に偶然会って時を越えて結ばれる場合ってさぁ、やっぱり初恋が実ったってことかなぁ」
「あれ?昔、出会ってたっけ?」
「もしもし、あなたじゃありません」
きみは意味深な表情で笑っている。
LETTERS TO JULIET
ジュリエットからの手紙。「シャーロットのおくりもの」のゲイリー・ウィニック監督の遺作です。ソフィ役のアマンダ・サイフリッドも、クレア役のヴァネッサ・レッドグレイヴも可愛いのでよいのだけれども、もちろんロレンツォ役のフランコ・ネロもね。ただ口コミ評価が高いけど、このストーリーなんだかなぁ。最後のオチもありきたりだし、それで良しとして観るべき作品なのかな。うーむ。まぁおふたりが可愛かったのでよしとしましょう。
きみのもしもし #223
「ねぇねぇ、ぼくに何か言うことないかな」
テーブルを挟んで、珈琲カップで両手を温めているきみに尋ねてみる。
きみはきょとんと不思議な表情をする。
「だから、何か気づかない?」
きみは珈琲カップを口元に運びながら、顔をちょっとだけぼくに近づける。
「もしもーし」
そして少し唇を突き出し、言葉を続ける。
「めんどくさいひとねぇ。気づいてましたよ」
「どう、どう」
「いいんじゃない、似合ってるよ」
ぼくは買ったばかりの真新しいメガネを上機嫌に触ってみせる。
「でもね、ひとりで決めて、ひとりで買ったんでしょ、わたしにちよっとでも相談なんてなしにさ」
ーおや、そうきましたか。そりゃそのとおりだけど。。。
きみはぼくからメガネを取り上げると、
「でもまぁ、うん、いい感じね」
と言って、ぼくに掛け直してくれた。