きみのもしもし #223
「ねぇねぇ、ぼくに何か言うことないかな」
テーブルを挟んで、珈琲カップで両手を温めているきみに尋ねてみる。
きみはきょとんと不思議な表情をする。
「だから、何か気づかない?」
きみは珈琲カップを口元に運びながら、顔をちょっとだけぼくに近づける。
「もしもーし」
そして少し唇を突き出し、言葉を続ける。
「めんどくさいひとねぇ。気づいてましたよ」
「どう、どう」
「いいんじゃない、似合ってるよ」
ぼくは買ったばかりの真新しいメガネを上機嫌に触ってみせる。
「でもね、ひとりで決めて、ひとりで買ったんでしょ、わたしにちよっとでも相談なんてなしにさ」
ーおや、そうきましたか。そりゃそのとおりだけど。。。
きみはぼくからメガネを取り上げると、
「でもまぁ、うん、いい感じね」
と言って、ぼくに掛け直してくれた。
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