きみのもしもし #224
「初恋ねぇ」
ぼくは遠い昔に想いを巡らす。
中学は何もなかったなぁ。文通はしていたか。
小学生のときは、好きだった子をいじめてばかりいた。
そっかぁ、初恋は幼稚園のときだ。あれ、名前が出てこない。
「話、聞いてくれてるのぉ、ちゃんとぉ」
おっとっと、聞いてるよ。
「でね、初恋ってやっぱり結ばれないものなのかな」
きみはどうなんだろう。
きっとぼくとは初恋じゃないはずなんだけど。
「初恋の人に偶然会って時を越えて結ばれる場合ってさぁ、やっぱり初恋が実ったってことかなぁ」
「あれ?昔、出会ってたっけ?」
「もしもし、あなたじゃありません」
きみは意味深な表情で笑っている。
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