Archive for 3月 3rd, 2012
きみのもしもし #225
頭の中でなぜか清志郎の「プライベート」がこだまする。
残業も遅い時間、ぼくはいつしかそれを口にする。
♪ 忙しいぜ、とても、遊んじゃいられねぇ
♪ だから今夜はベイビー、バイバイ
そう、デスクに置いたスマホにきみからのメッセージが届いてる。
いったい何件のメールが届いているんだろう。
♪ お前を抱きたい気持ちだが
♪ じゃますんよな、ベイビー、わがまま言うなよ
分かってるけどさ、たまにはこんな週もあるさ。
急なこの仕事も今夜中に終わらせれば、週末はもうこっちのもの。
スマホはゆっくりと灯りを点滅させ、受信を知らせている。
ぼくはキーボードから手を離すとスマホを取り上げ、ガラス越しの夜景に自分の姿を重ねる。
ーもしもし、今日はもういいよ。分かってるって。大丈夫だよ。
♪ 欲しいものはたったひとつだけさ
♪ プライベートな夜を手に入れて、きみにあげたい
さてと、もう少しがんばりましょうかね。