きみのもしもし #229
「だからね、珈琲をポットに入れて持っていくの」
これから出かけるお花見の用意のひとつらしい。
ぼくはワインでも買って行くものとばかり思っていた。
だからワインオープナーと割れづらいフランス製雑貨のガラスのコップをバックに入れていた。
「もちろん、あなたの準備はそれでいいのよ」
きみはニコニコしている。
「パンとおつまみも途中で買うでしょ」
そのつもりだけど。だってお花見じゃん。
「ワインに飽きたらわたしのいれた珈琲を飲みたくなるでしょ。ね、もしもし、飲みたくなるよね。そうでしょ」
確かに、きみはこのところ珈琲をとっても美味しくいれるようになったよね。
でもさ、そんなに迫ってこなくてもいいんだよ。
きみの珈琲、好きだからさ。大好きだから。
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