きみのもしもし #236
「だからぁ、ひとりで散歩に出ちゃだめでしょ」って、ぼくをまるで幼稚園児あつかい。
まぁ迷子になる訳でもないんだけど。
「で、今日は何を見つけて来たのかな」
「高いでしょ、それ、あきらめれば?」
「あっ、また海外で探す気でしょ」
ぼくの返事を待つ間もなく、言葉を続けるきみに、
ぼくは苦笑いしながらiPadに写る文房具を見せる。
もちろん海外サイト。
ーねっちょっとだけ珍しいでしょ。って見つけて来た事を自慢げに。
きみはしばらく黙ってそれを見ていると、突然、
「そのメーカー」
ーえっ。
「そこってずっと前にわたしが欲しいって言ってたメーカーだよ」
「もしもし」
ーはい。
「当然、わたしの分も一緒だよね」
ーうーん、そうなりますか。そうだよね、そうなりますよね。
きみの笑顔と今のぼくの笑顔は微妙に意味合いがちがうみたいだね。
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