Archive for 6月 2012
きみのもしもし #240
まったくもって記憶がない。
いや、きみと一緒にいたことはちゃんと覚えているんだよ。
でもね、ぼくは何を話したんだろう、きみは何を伝えてくれたんだろう。
お店を一緒に出たのも覚えているし、でも。
うん、目が覚めると二日酔いの鼻声のぼくは起きだすのも辛いくらい。
枕元にはiPhoneが転がっている始末。
なんかたくさんメールが届いているなぁ。
ぼくは寝転がったままメールを開く。
ーもしもーし。生きてますかぁ。
ーもしもーし。帰り着いてますかぁ。
ーもしもーし。昨夜約束した週末のデートのお時間ですよぉ。
まだまだ届いているきみからのたっくさんのもしもし。
さてと、どう返信すればいいんだろう。
うーん、うーん。
きみのもしもし #239
ーね、どう思う。
少しだけ返信に自信がないこともあり、どう返信しようか間が空いてしまう。
ーそうよねぇ、あなたに尋ねてもねぇ。
いえいえ、そうでもないんだけどね。
とは言いつつ、また返信をためらってしまう。
父の日の贈り物、何を贈るか、まだ決めかねているきみ。
すでに贈る相手のいなくなっているぼくとしても一緒に考えてあげたいんだけど、
だけどきみの気持ちが一番だから、決めつけるような返信はしたくないし。
ーもしもし、じゃあこんなのはどうかしら。
それも素敵だね。
でも一番素敵なのは、毎年こんなにもあれこれ悩んでいるきみの気持ちなんだよね。
だから、
ー大丈夫、何を贈ってもよろこんでもらえるよ。
ーもぉちゃんと一緒に考えてよね。
ほんと大丈夫だからさ。