Archive for 9月 2012
きみのもしもし #254
「もしもし、もうすぐ誕生日なんだよ」
知っているよ。
「うん、そうだね」
「そうだねじゃないっ」
ん？
「プレゼントなんていらないからさ」
「いらない？」
「いるっ」
「いるんじゃん」
「いらないって言ってもいるのっ」
そうだよね。ははは。
「でもそれより一緒に美味しいものが食べたいな」
ご安心あれ。ちゃんとお店を選ぶための本、買ってあるから。
「でも、美味しいって意味をちゃんと考えてね」
え？
「わたしが言ってるのは星がたくさん付いてたり、はやりのお店って意味じゃないからね」
ぼくはAmazonから届いたホイチョイの新しい本を本棚に戻す事にした。
きみのもしもし#253
ーこっちは雨だよ。
ーそうみたいね。こっちは今朝も暦通りの秋晴れよ。これからカフェでクロワッサンかな。
ホテルのベランダからきみとのやりとり。
そうか、そっちは秋晴れか、気持ち良さそうな朝だな。
ー出かける前に天気予報確認しなかったの？
ーきみのいない週末だから天気に関係なくちょっと予約してみてたんだ。それに降り始めたのはさっきだよ。
今、きみとの時差は７時間。今日の朝がきみで、今日のもうすぐ夕方がぼく。
ーもしもし、あなたも近くのカフェに出かけない？一緒に珈琲どう？
そっか、いいアイディアかも。
ぼくは昼時に目についていたホテル付近のカフェを思い出した。
in front of the bar
だから何って写真なんだろうけど、数ヶ月に一回の頻度で仲間と集うバーの入口から見えるもの。常連さんの自転車、カウンターに空きのないときのウェイティングベンチとスモーカーのための灰皿。なーんかさ、大好きなんだよね。
きみのもしもし #252
「遅い夏休みをとるのよ」
きみのうれしそうな顔がケイタイから伝わってくる。
ーまたひとりで行くのかな。
「だって、あなたとはお休みが合わないんだもの」
返す言葉もない。
「でもね、あなたと疑似体験したいから」
えっ。
「あなたの行った事のある場所を教えて。その中から選ぶ事にしたんだ」
ー海外だよね。
「そうよ。国内だったら連休でどうにか一緒に行けるじゃん」
そして、ぼくらはそれぞれにGoogleマップを開いた。
「もしもし、まずはどこに飛びましょう？」
ふたりの疑似体験の始まり始まり。
GIRL WITH A PEARL EARRING
真珠の耳飾りの少女。全編を通してフェルメールの絵画そのものの映画です。スカーレット・ヨハンソンの演技もさることながら、映像を観ているだけなのに身動きが取れなくなりました。初めて耳たぶが見えたときのグリートはなんて艶っぽいんでしょう。しっかしスカーレット・ヨハンソン、美しい色白です。
風、空、きみ 