きみのもしもし #250
とつぜんの雨。
そう言えば、目が覚めて窓から見えた西の空に黒くて分厚い雲があったなぁ。
昨夜から開けっ放しにしている窓に近づくと、濃厚な緑の香りが雨風に乗って鼻をくすぐる。
ー雨だよ、雨。雷も聞こえるよ。
雷マークの絵文字入りのメールが届く。
あれ?きみは雷、苦手でしょ。まだ少し余裕があるのかな。ぼくは苦笑する。
ー窓、ちゃんと閉めてる?
まだ開けてるよ、気持ちよい香りが入って来ているんだ。
ーもしもしぃ、そんなことだから部屋が湿っぽくなるんだよ。
えっそうかな。
ー雨が降ったら、窓を閉める。雰囲気に浸ってないで、現実的にね。
たまぁに生活感を感じさせるきみ。
もう少し突然の緑の香りを楽しみたかったけど、
でもきっと、きみは正しいんだろうなぁ。
雨に葉っぱを洗われている窓の外の木々からの香りに、ちょっとだけ未練を感じつつ、
ぼくはきみの指導に従って窓を閉めた。
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