きみのもしもし #251
彼岸には少し早いけど、お墓の掃除に行く事にした。
途中の幹線道路はそれなりに混んでいたが、霊園近辺はやはり予想どおり人影まばらな週末だった。
持参したのは2リットルのペットボトルに詰めた水、ゴミ袋、手袋。
墓石屋で購入したのは献花用の花と線香と一箱のマッチ。
たまに通るそよ風が残暑の日射しをやわらげてくれる。
ーおはよ。いまどこにいるの?
ケイタイで時間を確認すると11時、もう少しでお昼時か。
墓地の雑草抜いて、墓石を洗って、献花して、お線香焚いて、おそば食べて、ちょっと散歩して、
そうだなぁ、夕方前にはそっちに行くよ。
ーん、わかった。
きみがベッドから起きだし、背伸びをしている様が何気に目に浮かぶ。
ーもしもし。お線香焚くんだったら枯れ草に気をつけてね。すぐに火が移っちゃうからね。
そうだね。気をつけるよ。ちゃんと火の元に水をかけることにいたします。
目的の墓石に着くと、一層の蝉時雨がぼくを包んだ。
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