きみのもしもし #257
「手はつなぐためにあるんじゃないのかな」
きみはiPadから顔を上げると唐突にそう言った。
「と、このコミックでも主人公の彼女がそう言っている」
ぼくはふーんと聞き流しながらも、きみの右手と握手する。
「違うでしょ、つなぐってさ。それは握手」
ーそうなんだけどさ、なんか照れくさいじゃん。
当然、きみは納得しない。
「ねぇ、散歩に行かない?」とぼく。
「手をつないでくれるんだったら」ときみ。
ーもちろん。
ぼくは右手をきみの左手に差し出した。
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