きみのもしもし #259
ーもしもし、拾えた?
ーうん、もう乗ってるよ。
ー行き先、ちゃんと言えた?
ー大丈夫大丈夫。
ーしっかりしてよ、まったくぅ。
どのくらい寝ていたのだろう。
運転手さんにケータイが鳴っていると起こされた。
「・・・」
「もしもし」
「はい」
「わかってないでしょ。運転手さんに代わって」
運転手さんは車を端に寄せるとぼくからケータイを受け取った。
またうとうととしているとケータイがぼくに戻って来た。
「行き先変えたよ。わたしんちの方が近いもん」
「はい」
「もしもしぃ」
ぼくはケータイを切ると、運転手さんに声をかけた。
「よろしくお願いします」
今夜のもしもしはきみの心配の証。
わかっているけど、少し飲み過ぎたようだ。
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