きみのもしもし #262
ーもしもし、おはよ。
ーもしもし、いまどこ。
ーもしもし、はろはろ。
ぼくはきみのもしもしに、いや、きみのメールにまったく気づかない。
気づいたのは電車が終点に着いたとき。
ーもしもし、大丈夫かな。
ぼくはどうも乗りたかったのと違う電車に乗ったみたい。
景色も違うし、そもそも乗りたかった路線でこんな早くに終点なんて来る訳ないじゃん。
「ここはどこだ、なんでここに来てるんだ」
ー疲れてるのよ。今日は早く終わるといいね。
そうなんだけど、さてここからどうしよう。
きみに「大丈夫だよ」と返信を返して、ぼくは空を見上げた。
おや、快晴じゃん。
「へんなとこに来ちゃったけど、なんかいい一日になりそうだよ」
ーうん、そうなるよ、きっと。
「そうだね」
ぼくは雲一つない空に向かって、大きく背伸びをしてみた。
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