Archive for 1月 2013
L’Imaginaire d’apres nature
「こころの眼」どれも観たことのある写真、どれも観たことのない写真。それらの写真を観ながら思う。ブレッソンの写真を観ているととても写真を撮りたくなる。銀座シャネル、ネクサスホールにて。
きみのもしもし #271
きみとふらりとそのビルに入った。
ふらりとだけど目的はそのビルの四階にあるイベントホール。
毎回楽しみなイベントを企画してくれるんだけど、
今回はぼくにとってとっても気になるイベントだった。
大好きな写真家の代表作のみで構成された写真展。
でも、ぼくらの雰囲気的にはふらり、そんな感じ。
「好きなんだよね」
「とっても」
「行く?」
「散歩がてらに行こうか」
そしてぼくらは彼の代表作をたがいに目配せしながら観て回った。
ホールを出ると、きみは何やらいたずらっぽい笑みを浮かべている。
「もしもし。モデルになったげるよ」
確かにこの写真家の作品を観ていると、ぼくは無性に写真を撮りたくなる。
でも今日はきみの方が早く撮ろうよとばかりに乗り気なように見えるんだよね。
きみのもしもし #270
「美味しい珈琲がはいったの」
ベッドの上のぼくは、オーバーホールから戻ってきたばかりのレンズと戯れている。
「聞こえてる? 美味しいんだから」
きみの声に反応してカメラをきみに向け、ピントを合わせる。
きみは小さめの珈琲カップをトレーに乗せて立っていた。
ーうん、やっぱりボディに付けるとヘリコイドの重さはさほど気にならないな。
ぼくはそう感じるとすかさずシャッターを切った。
「もしもし、ほんと美味しいんだからっ」
きみは口を尖らせている。
ーほんといい香りだね。
今度はゆっくりときみの胸元にピントを合わせた。
「どこ狙ってるの?」
ーいい感してるなぁ。
きみはトレーごとベッドに上がり、ぼくの横にあぐらをかいた。
「レンズの確認は中断っ、はいっカメラを置いて珈琲飲もうっ」
にこりとするきみ、そんな表情もまたカメラに収めたくなった。