きみのもしもし #268
新年早々、きみがおせち料理を持ってきてくれた。実家からのお裾分けなのかな。
「わたしが、作ったのよ」
かなり自慢げにお重から取り分け、きれいに並べ始める。
うん、かなり美味しそうだね。
「美味しそうじゃないの、ほんとに美味しいんだよ」
きみの配膳は手際よい。あっと言う間にテーブルは昨日までの殺風景さから別世界へと切り替わる。
「ところで初おみくじ、どうだった?」
ぼくはにんまりときみを見つめ、今年も完璧ってきみに伝える。
「毎年毎年引いた言葉を都合よく解釈してるでしょ。そんなに甘くないわよ」
でもね、とぼくはとある映画のひとつの台詞を思い出す。
ー世の中甘く見てる方が安心だ。どこにも光がないと絶望しているより。
「もしもし、また都合の良い事を言おうとしてるでしょ」
きみはお雑煮まで作ってくれた。
ありがたいなぁ。今年も完璧です。
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