きみのもしもし #271
きみとふらりとそのビルに入った。
ふらりとだけど目的はそのビルの四階にあるイベントホール。
毎回楽しみなイベントを企画してくれるんだけど、
今回はぼくにとってとっても気になるイベントだった。
大好きな写真家の代表作のみで構成された写真展。
でも、ぼくらの雰囲気的にはふらり、そんな感じ。
「好きなんだよね」
「とっても」
「行く?」
「散歩がてらに行こうか」
そしてぼくらは彼の代表作をたがいに目配せしながら観て回った。
ホールを出ると、きみは何やらいたずらっぽい笑みを浮かべている。
「もしもし。モデルになったげるよ」
確かにこの写真家の作品を観ていると、ぼくは無性に写真を撮りたくなる。
でも今日はきみの方が早く撮ろうよとばかりに乗り気なように見えるんだよね。
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