きみのもしもし #276
朝方までワイン片手にレンタルビデオを観ることにした。
日付が変わる頃久しぶりに映画を観たくなり、オンラインで当てもなく何かないものか探した。
やっぱり先日のオスカーが意識に残っていたのだろう、結局関連する作品を選んでいた。
ボトルに半分の赤ワインが残っている。
観終わるまでにはちょうどいい量だな。
世の中全てのものが、今夜はぼくにゆっくり映画を観るように勧めている気がした。
「そんなわけないじゃん」
ぼくの仕事が予定どおり終わらず、デートをキャンセルされたきみからのご意見。
仕事も予定どおり終われなかった。
デートは時間をずらすのではなく日をずらすことになった。
ボトルには必要最小限のワインが残っている。
先日のオスカーに絡むビデオが見つかった。
明日の午前中に予定はない。
ほらね、今夜は朝まで映画を観なさいって神様が言っているよ。
「もしもし、そう言うのをこじつけって言うのよ」
そうだよね。デートをドタキャンされたら素直にぼくの言い分は聞けないよね。
きみは「まったくあなたって」と口にして、
「で、これから何観るの」と聞いてきた。
どうやらきみもぼくと同じ映画を観ようとしている。
そんな気がした。
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