きみのもしもし #278
久しぶりに車のエンジンをかけた。
黄砂で真っ白なボディの洗車を待つ間、きみにメールを入れてみた。
ーどっか行かない?
ー相変わらず、急だね。
今年の花粉症はひどい、とくに眼に来るときみは言っていた。
だから車からほとんど降りずに、クルージング中心。
ーうん、ドライブ、ドライブ。行こっ。
そしてどのくらい走ったんだろう。
ウインドーから差し込む暖かい日射しがきみをうとうとさせていた。
だからちょっと気を抜いて、ぼくは信号待ちで大きくあくびをした。
すると、きみは不思議と目を覚まし、
「もしもし、このまま桜を見に行こうよ」
きみはそう言うし、たしかに春の陽気だけどさ、まだまだ梅どまりだよ。
寝ぼけ眼のきみは不思議そうな顔をしている。
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