風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #286

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「もしもしっ、どうして通りすぎるかなぁ。どうして気づかないのかなぁ」
 きみは少しきつめの語調で、かつくちびるをとがらせて、腕を組んでいる。
 いや、気づいてはいたし。
 もごもご。
 声はかけそびれたけれど、目配せはしたつもりなんだけどなぁ。
 もごもごもご。
「聞こえないっ」
 はい。。。
「はいじゃない。ちゃんと声かけてよ」
 抱きしめたり、頬にキスしたり。
「ふざけないのっ」
 どうやら一緒にいた友だちがきみより先に気づいて「ぼくが無視した」んじゃないかと言われたらしい。「なんか不穏な感じがした」とも言われたらしい。
 そんなことはないんだけどなぁ。
「だったら、ちゃんと挨拶するっ」
 きみの友だちがたくさんいると躊躇しちゃうんだよねぇ。
「もうっ」
 きみが思っている以上に集団の女子のオーラって独特のものがあるんだよ。
 きみは半分あきれたように頬杖をついた。
「きみひとりだったらいいんだけどね」
 ぼくもきみに向かって頬杖をついてみた。

Written by ken1

2013/05/12 @ 10:43

カテゴリー: kiss

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