きみのもしもし #288
いつもの小道でイベントが開催されていた。
小さなステージではかわいいと言うよりは、うさぎとしては巨大すぎる着ぐるみがMCのおねえさんと所狭しとやり取りをしている。
トタン板1枚で仕切られたバックヤードでは露なコスチュームのおねえさんたちが出番を待っている。
うさぎさんに奇声をあげている子どもたちにもあのコスチュームを見せるのか、不思議なステージは盛況だった。
ーだから思うように歩けなくて遅れそう。
ー次のおねえさんたちのパフォーマンスを見たいんでしょ。
確かにこんなタイミングはそうざらにないからシャッターチャンスでもある。
それよりもいつものんびり歩けるこの通りが、誰とでも肩がぶつかるほどに混んでいるのだから、正直まともに歩けない。
ーだから遅れるんだよ。
ーもしもし。だからだからって怪しい。
ーだからそう言われても。
ーほら。
うさぎさんが引っ込んだ。少し間があるらしい。なるほど子どもたちはここでステージから離れていくわけか。それなりに進行は考えられているようだ。
でも余計に通りは歩きづらくなりそうだな。
ーわたしがそっちに行くから。あの当たりでしょ。行けば会えるよね。
ありがたいことで。
ぼくは子どもたちが去り始めたスデージ前、でもちょっとはずかしいから少しだけ横の方のスペースに移動する。
いやいや、きみがぼくに声をかけやすいように横の方のスペースに行く事にする。
ー分かりやすい場所にいるよ。
晴天にも恵まれ、今日のイベントは成功なんだろうな。
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