きみのもしもし #290
カメラとカードとパスポート、これだけあればどうにかなる気がしてきた。
もちろん飛行機のチケットも。
足りない物は現地で買えばいっか。
相変わらずの「まぁどうにかなるでしょ」感覚。
これはきみと知り合うずっと以前から変わらない。
「どうしてまた急にひとりで行くかな」
「思い立ったからね」
「毎回、そうじゃん」
「今から一緒に来る?」
「無茶言わないの。でも向こうで偶然会ったりしたら面白いかもね」
スマホの向こうにきみの屈託のない笑顔が見える。
「もしもし。お味噌汁のもとと梅干しと緑茶パックは持って行くんだよ」
きみはお袋みたいな事を言う。
「もしもし、それからね」
ここからが長い。ぼくの荷物はきみのアドバイスであふれそう。
「もしもし、これがさいご。お土産はちゃんと買ってきてね」
あれ?ふつうお土産はいらないから元気で帰ってきてね、じゃないのかなぁ。
「うぅうん。お土産を買ってくるっとことはちゃんと帰ってくるってことでしょ」
きみはさらりとそう言った。
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