きみのもしもし #292
「いったい何枚撮ったの」
きみは半ばあきれ顔、半ば興味本位の楽しそうな顔で操作中のMacBookを覗き込む。
MacBookがうなりを上げて、ぼくにかなりの枚数の写真を処理させられていることをきみに訴える。
「酷使しちゃって。壊れちゃうよ」
あなたも一休みすればと、きみはいれたての珈琲を横に置く。
うん、いい香りだ。
久しぶりにきみがいれた珈琲を口にして、軽い背伸びで気分転換。
「整理がついたらお土産話を聞かせてくれるのかな」
きみはデスクの横に腰を下ろしひざを抱え、いたずらっぽい目つきでぼくを見上げる。
そうだね、もう少しだからちょっと待ってて。
そしてもう一口、珈琲を味わう。
「もしもーし」
ん?
「もしもーし」
どうしたのかな。
「なんでもない。なんとなく呼んでみただけ」
きみは今度はネコみたいにごろりとカーペットに横になる。
「もしもーし。こうして会うの久しぶりだね」
うん。
ぼくは手を伸ばし、きみの髪の毛に軽くふれた。
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