きみのもしもし #293
週末のみ有効な回数券、そんなものが郵便受けに届いていた。
正確に表現すると、郵便受けの封筒を開いたら、土休日回数券が入っていた。
差出人はきみ。
ーどうしたの。
ぼくは訳が分からず、きみにメールする。
いつものような即答の返信が来ない。
どのくらい待ったのだろう。
メールはいつしか即答を期待させるツールになっていることに気づく。
気楽にやり取りできるから電話じゃなくてメールなのにね。
きみからのメールが来るまでの時間、珈琲をいれることにしよう。
今日はそうだな、ブラジルサントスにするか。
まだ豆をひいている最中なのに、スマホの着信がまた気になる。
だめだめとぼくは首を振る。
「もしもーし」
きっとメールの冒頭はこの言葉なんだろうな。
抑揚まで予想してしまう。
そんな思いを募らせながら、いれたての珈琲の香りを楽しむ。
うん、うまくはいったな。
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